キハ40000の兄貴分であるキハ41000の台車はTR26(固定軸距1800mm)で、その軸距を1600mmに短縮したのがTR27(動力側)とTR28(付随側)です。軸距2000mmのキハ42000用TR29は揺れ枕機構が強化されているものの、外観は類似形状になっています。いずれも帯鋼をトラス状に組み立てた簡易軽量構造ながら乗心地がよく、信頼性が高かったようで戦後製の私鉄気動車にも採用されていました。詳しく観察すると溶接されている箇所は見当たらず、ボルト・ナットとリベットで組み立てられているようで、見れば見るほど製作欲がかき立てられます。
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TR27/28総組立図 |
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同上軸受部 |
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同上ボルスター部 |
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上部をカットし軸バネを装着 |
大宮の鉄道博物館に保存されているキハ41000の床下にメジャーやノギスを当てて寸法を実測し、JIS規格から塗料の厚さを除外した鋼材の厚さや幅を推定して1/3に縮尺した台車の構造図を作成しました。完全なスケールダウンではなく、印象重視で材料入手の容易さ等を考慮したのはデ1のブリル台車と同じです。軸受は鋳物製のハウジング内に球面保持でユニット化されたテークアップ型と呼ばれる市販品で、両側を上下方向に自由度があるスライドガイドで挟んだペデスタル式になっています。上部をカットし、台車枠と軸受ユニットの間にはバネ座を介して圧縮コイルばねを装着します。運転台側の台車に組み込むバネは運転手の体重を支える分硬くしてあります。 台車枠の構造材は厚さ6mm、幅32mmの帯鋼で、実物に倣ってすべてボルト・ナットで組み立てます。切断および穴あけ、ねじ切り加工は自分で行いますが、厚さが6mmともなると人力での曲げができないので、トラス構造部材のみおなじみの柴田工作所に加工依頼しました。
車輪はデ1と同じく永瀬工場製チルド車輪を柴田工作所から手配して機械加工してもらいました。デ1の車輪径がφ230であったのに対して今回はφ250にしました。径だけでなくタイヤ幅やフランジ高さがより実物に近く、床下で目立ちにくいとはいえ完成時の見た目に期待がふくらみます。ただ旧型気動車特有のスポーク車輪でもプレート車輪でもなく少し残念ですが仕方ありません。この車両はそもそも急曲線通過時の両輪の差動滑りによる走行抵抗低減が期待される左右独立回転車輪付きの試験車です(2022年1月19日投稿「妄想トレイン後編」参照)。ただし当初計画では車軸と車輪の間に玉軸受けを組み込むことにしていましたが、これらの相対速度が非常に低いことから樹脂製のカラーを利用した滑り軸受に設計変更しました。部品コストや加工・組立の容易さ、耐久性を考え合わせても賢明な方法だと考えています。滑り軸受を入れた車輪の反対側はキーを入れて車軸と固定してあります。現時点では駆動方法は未定です。走行抵抗の実験をしたうえで駆動軸数(車輪数)と併せて検討するつもりです。
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奥がキー溝付き駆動車輪、手前は滑り軸受付き従動車輪 右側4個は油性ペイントによって塗装済み、左側未塗装 |
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車輪との嵌め合い部がある車軸は塗装せず防錆油塗布のみ |
今回の投稿では台車設計の図面と概要説明のみにとどめ、加工・組立が進展したら写真や試運転の様子をお伝えします。
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仮組みした車輪 |
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