2023/06/23

線路補修等の進捗

手前側(曲線内側)の隙間が約7mm
  昨年エンドレスの延長工事で新設した線路の継目隙間が左右で大きく異なっている部分があり、気になっていました。次の延長線路を敷設する前に調整しておかないと、後ではどうにもならなくなるためこの度対処しました。曲線部なのでレールの他端をハンマーで叩くだけでレールが上手く動いてくれるか、ゲージが狂うことはないかなど心配していましたが、案ずるより産むが易しの言葉通り隙間を詰めることができました。ただし、レールの片側の犬釘の全数を少しだけ浮かし気味に緩める必要がありました。完了後、ゲージ確認用の治具を当てがって当初通りのスラック約10mmが確保されていることを確認しました。
犬釘をわずかに浮かせ、他端をハンマーで叩く

隙間適正値3mm
 その時の写真にも映っていますが、スギナの繁茂が過日の報告時よりかなり進行しています。実は試験的にスギナに効果のあるという除草剤を散布していたのでした。その注意書きに「散布後に降雨があると効果がなくなる」と書いてあったのですが、不覚にもその夜にかなり強い雨が降ることを予測していなかったので、ほとんど洗い流されてしまって効いていません。継目隙間の調整作業が終わった後あらためて除草剤の散布をしました。

 その後一週間は晴天続きとの天気予報だったので効果を期待していました。結果はあらためて報告するつもりでいたところ、なんだかんだと忙しく投稿が滞っていたのでここでその後の状況をお知らせします。散布から数日目には地上の葉茎は萎れて変色が始まりました。薬剤は光合成の栄養とともに地下茎へ送られて根を枯らすので、残った茎を刈ったり抜いたりせず、新たに芽吹いた葉にさらに散布することを繰り返すうちに全滅する、と説明書に書いてあります。文字通り根絶できるか気長に観察を続けるつもりです。 

 線路と車両の補修にあまり時間が割けないのは、カヌー格納庫(長尺資材保管庫)の雨漏り対策に奮闘しているためです。屋根ポリカーボネート波板と垂木の間からの風雪雨吹き込みと波板の継目から融雪水が滲み出て来るのを防止するために、屋根を二重構造にしたり、隙間に板を張り付けたり、手間のかかる作業を続けてきました。これもようやく終盤に漕ぎつけて、後は床板を敷きつめるといよいよ資材発注の段取りが整います。

2023/06/13

待避線(余談雑談) キハ40000のこと

 鹿部電鉄の次期増備車両がキハ40000となったいきさつは20211229日の「妄想トレイン前編」から始まる何回かの投稿に記しています。はやい話が、私の大好きな日車型軽量気動車の典型であり、同じ線路を走る大沼電鉄デ1と世代が共通して違和感がない、という理由に因っています。1955(昭和30)頃日本の新製鉄道車両は半鋼製から全金属製に変わっていきました。小学生の私は新型車を見るともちろんワクワクしましたが、身近な大方の電車や客車、気動車には窓の上下にウィンドウシル・ヘッダーが付いているのが当たり前で、そんな中でもレカー*と呼ばれる加古川線のキハ41600(後のキハ06ですが、当時は型式なんか知りませんでした)はとてもスマートな存在として映っていました。

 ある日模型店のショーウィンドウの奥の方にOゲージの車体だけが転がっているのを見た記憶があってずっと気になっていたのですが、今思うとそれは日車型のガソリンカーで、当時一般的だったカツミのEB電機やブリキ製貨車とは一線を画すとてもリアルな模型でした。模型店の店主か客の誰かが自作したものの未完成のまま置き場に困っていたのかもしれません。その模型はリアルでありながら国鉄や阪急の電車に比べると車体が短く、表面の凹凸が小さくてとても軽快な印象を受けました。できることなら実物がどんな電車(だと思っていました)なのか見てみたいと強く願いながら、実物誌など読んだことのなかった少年は幻に出会うような憧れを抱いたことを覚えています。

ディーゼル化された日車型軽量ガソリンカー 左:別府鉄道キハ3 右:加悦鉄道キハ101
                       いずれも鉄研撮影会アルバムより 1970年頃撮影

一畑電鉄立久恵線キハ二1 自身製作
 やがて鉄道本や模型雑誌に目を通すようになって加古川線以外にもそんなディーゼルカーがあることを知り、中でも見るからにスマートな日車製気動車に心を奪われるようになっていきました。地方私鉄によくある10~12m級のトランジスターグラマー(当時の表現)に誘惑されてわざわざ遠方まで会いに行くようになりました。車庫では美魔女の香水の如き軽油の匂いに酔いしれてこの世の極楽を味わってしまいました。手っ取り早くそれを我が物にする手段は模型です。一般的な電車の寸法を元に目的の気動車の窓割りを再現しただけではあの軽量感は出せません。市販のキットや完成品でゴツゴツした気動車の模型を見るとガッカリすることがありますよね。素材(ボール紙、真鍮板)の厚さ、窓柱やシル・ヘッダーの寸法、窓枠の幅などを0.1mm単位で割り出す努力をして初めて、軽量気動車の薄っぺらでひ弱そうな車体を模型で表現できるのです。

 電気鉄道に気動車はおかしいと言わないでください。いやおかしいと言われても私の大好きなキハ40000は鹿部電鉄に入線させます。小田急、南海、富士急、定山渓などの電鉄線に国鉄乗り入れを目的とした気動車が存在したことは鉄っちゃんなら百も承知のはずでしょう。公式には、大沼電鉄は戦後乗客をバスに奪われて昭和27年に廃止された、となっていますが、その歴史を詳しく調べていると、廃止の原因は他にあることがわかりました。経営者の一部が資産を横領したり、東京の詐欺師に騙されたりして多大の損失を被っていたとのこと、鉄道事業の行き詰まりが原因ではなかったらしいのです。もしそんな不運に遭遇していなかったら大沼電鉄はその後も営業を続けていたことになります。大沼電鉄をモチーフとした鹿部電鉄は、廃止されなかったその後を現代に伝えることにします。

国鉄キハ40000形式図
 ここからは妄想です。大沼電鉄は戦後の好景気に支えられて乗客、貨物の輸送量が増え、国鉄線へ乗り入れて大沼や函館まで乗り換えなしで行ける旅客列車の直通運転が計画されました。国鉄で余剰となっていたキハ40000を譲り受け、五稜郭工場で機関をディーゼル化、弱点だった冷却系を強化するとともに寒冷地対策を行い、観光列車に相応しく車内の改装をしたのでした。塗色は当時の気動車標準色、腰板が青3号、窓から上が黄褐色2(薄茶色)で、デ1と区別して乗り入れ車であることをアピールしました。函館本線砂原支線との接続駅である銚子口の貨物受け渡し線を使ってスイッチバックで入線します。戦前型の機械式気動車とは言え、2軸単車と比べると乗心地は格段に良く、観光客のみならず沿線住民の評判も上々で、後年新型電車登場のきっかけになったことは言うまでもありません。

2023/06/02

2023年計画

  春先というか初夏は不安定な天候を含めて外乱が多くなかなか鉄道に関わる屋外作業が始まらない、と前回の投稿で書きました。何もしていないわけではないのですが、まとまった仕事ではないので達成感が乏しく、前の年の雪が降り始める頃に「春になったらこれをしよう」と意気込んでいた割にズルズルと暦だけが進んでいきます。

 雪融けの頃から時々裏の雑木の伐採をしていました。この部分は我が家の敷地ではありますが、庭や住居のある地面より一段高くなって傾斜しており落葉松(カラマツ)や低灌木や雑草が茂った遊休地でした。鹿部電鉄の全体計画を練っていた頃は電車と無蓋車各1両態勢だったこともあってP型の線路配置で事足りるだろうと、台地のこの部分は計画に入っていませんでした。今後キハを増備するにあたって本線上に留置するわけにはいかないのでどこかに退避させる必要があり、白羽の矢が立ったというわけです。木を切り、地面を削ってウッドデッキ沿いの線路を延長しようという考えで、ゆくゆくは車庫も建てて新車を雨風から守りたいと漠然と思っています。窓際の一角には旧型客車の直角椅子を置き、窓の上には網棚を取り付け、床の隅の暖房器に片足を置いてお茶を飲みたい、と妄想しています。気まぐれ木こりは2か月かけて倒した落葉松の幹と枝の処分をしてきましたが、まだ終わっていません。それが終わるとヒマを見て地面を切り崩し、発生した土砂を昨年延長した線路脇の路盤のかさ上げに使用するつもりでいました。 つもりでいても仕事は進みませんので、昨年の線路延長時に倣って計画を立てました。

留置線予定地を描き加えた全体計画図

落葉松を伐採した裏の台地 左:2019年9月 右:2023年6月
 まずやるべきことを列挙し、対処する順番を決めます。必要な工期を算定し、年間(雪が降るまで)のスケジュール表に線を引きます。いつものことですが、他の趣味に割く時間を勘案して余裕のある予定にしないと絵に描いた餅になってしまいます。

 この夏やらなければならないのは主に以下の項目です。

1.キハ40000

 まずは急曲線でも走行抵抗の小さいTR27型帯鋼組立菱枠台車を製作します。2個の台車を台枠でつないでボギー車としての走行抵抗が測定できるところまでを目標にします。

2.線路新設およびメンテナンス

 昨年延長した線路の路肩に土砂を盛って路盤の補強を予定しています。併せて鉄橋予定地の手前まで線路を延長します。ただし、スギナの繁茂が想像以上に厳しいので対応を模索しながらの作業になります。

 表の道路に面した鹿部温泉駅のホームの一部が崩れかけているのでセメント補強する必要に迫られています。

 上記の路盤補強用土砂の採取を兼ねて留置線建設場所の整地を行います。

 分岐器、転轍機の雪対策は11月の初雪までに行う予定です。

3.カヌー格納庫

 レールを含む鋼材などの資材置き場としてカヌー格納庫を使用するので、雨漏り/雪浸入対策および床張り(防草対策)を急がなくてはなりません。チョッと目を惹く扉の意匠実現は緊急課題ではないので涙を飲んで後回しにします。

4.現有車両整備

 デ1は完成以来3年以上経過していますが、屋根以外は再塗装していないので夏のお天気の良い日に塗装を計画します。トは一部の木材が腐朽しているので部材の交換を行います。

 最優先課題として、台車製作用にチップソーとボール盤、鋼材を購入しなければなりませんので、鋼材の保管場所であるカヌー格納庫の整備から取りかかることにします。次に機材および部品が入手できた時点で台車製作に着手し、追って台枠を製作します。合間をぬって天候と相談しながら、すでに着手済みの裏手の整地と路盤補強工事を進めます。これらの目途が立ってから線路の延長を行うこととしますが、どこまで進展するかは雪対策と格納庫の扉工事にかかっています。現時点ですでにカレンダーは6月になりましたが、スケジュール表にある5月下旬の作業(格納庫屋根床)は未着手で、悩ましい限りです。

2023年鹿部電鉄作業計画