2023/05/21

スギナの生命力

  道南地方ではゴールデンウィーク頃にソメイヨシノが見ごろになります。内地(本州)と違って、八重桜や山桜などが混植されていたり野生種もそこここに生えていたりするので、1ヶ月くらいに渡って次々と違う色の桜が咲きます。ということは当地の5月は新緑の季節とは言え内地なら3月下旬頃の気候、日中の気温が一桁止まりのこともよくあります。さらに鹿部に限って言えばこの時期霧や小雨の日が多く、屋外作業がなかなか始められないのが例年の倣いです。ただ面白くないことばかりではなく山菜が芽吹く季節であり、山や野に出ればタラノメ、コシアブラ、ウドなどが採り放題。採取、下処理、調理に夢中になるのは楽しいけれど、その分また鉄道趣味に打ち込めなくなります。

5月の鹿部

線路に生えたスギナ
 5月初めの暖かいある日のこと、昨秋新たに敷設した線路の道床を見て驚きました。造成した路盤にはスギナ対策の防草シートを敷いてから砂利を撒いたはずなのにそこらじゅうからスギナが顔を出しているではありませんか。その分布密度たるや防草シートを敷いてなかった部分とほぼ同じ、一体どうなっているのでしょうか?緑色の葉っぱを引っ張っても切れるだけなので、指で少し砂利を掘り下げ、茶色い茎のような部分を摘まんで引くと根っこの部分から抜けるようです。必死になって新設線路の十数m分のスギナを片っ端から引っこ抜き、あまり深く考えずにこれで大丈夫と安心していました。

 ところが2週間ほど経った先日、やはり同じような密度でスギナが繁殖しているのに気づきました。道床の端の方で砂利を完全に除去してスギナがどうやって生えてきているのか調べてまたまた驚きです。防草シートの重なった部分をすり抜けて来たのだと思っていたのですが、なんとシートを突き破って成長していました。

アスファルトを突き破ったスギナ
 秋に行った実験ではスギナに防草シートを被せると10日あまりで枯死することが確認できていました。スギナの生態を調べると、色んな場面でその生命力の強さゆえ厄介者扱いされており、実際に鉄道線路に繁茂した例があるとの記述がありました。時にはコンクリートのスキマを広げて貫通することがあるとも書いてあります。また群生の壊滅を図るために地上の葉や茎を除去することは全く無力である一方、専用の除草剤を使用するか優勢種の植物(ミント、芝など)で置き換えることによって繁殖を抑えることができるとのことです。防草シートを道床下に敷いてもスギナ防御にはならないことがよくわかりました。例えばシートの代わりに波板とかプラスティックの板を敷くことを含めて路盤の構造を再検討しなければなりません。除草剤については庭の他の植物へ弊害がないか調べる必要があると考えています。

2023/05/10

待避線(余談雑談) 英語の時間

  私の怪しい英語の知識とそれに関する逸話です。どこかのサイトや書籍からの受け売りではありませんので間違っているかもしれません。私はこう理解していた()というお話しです。

 Track:線路

映画フィルムのサントラ
右のギザギザがトラック
 陸上競技場のトラックとかサウンドトラックと同じ言葉です。サウンドトラックなんて言葉は今や語源辞典を頼らねばならない時代になってしまいました。線路と言う意味ではフレキシブルトラックやユニトラックが模型で使われます。元をたどればフランス語とのことですが、TrailとかTraceもこの類語で線を辿るという意味だと思います。ただし確証はありません。TrainやTramも同類だろうと勝手に想像しています。

 Traction:駆動、交通/輸送

 これもTrackの類語でしょう。かつて16番ではインサイドギアに電機子丸見えのDCモーターを取り付けていましたが、台車に小型モーターが組み込まれたトラクションモーターが主流になった頃には模型作りから遠ざかっていました。台車(トラック)に組み込まれているのでそういう名前になっているのだと信じていましたが、電気自動車の駆動用も辞書ではTraction motor:主電動機と書いてあります。

 YouTubeに庭園鉄道の動画がたくさん投稿されているイリノイの ”Rock River Valley Traction”、このTractionは「鉄道」という意味のようです。

https://youtu.be/prw_FFbQwDU

広大な敷地での24インチゲージ電車遊び 羨ましい!

 Truck(鉄道車両の)台車

 上にも書いたようによくTrackと混同される言葉です。貨物自動車のトラックはこちらから来ていて、アメリカ語です。イギリスでは貨物自動車はLorryと呼ばれ、タンクローリーは日本語になっています。またイギリスでは台車としてTruckの代わりにBogieを使います。Truckはトロッコの語源であるとも言われますが、それには諸説あるようです。

 Trolley:台車

 台車と言ってもこれは手押し車、運搬車というニュアンスです。我々鉄っちゃんがトロリーから連想するのは架線や路面電車ですが、一般的には台車とか食事を運ぶワゴンがメジャーな意味のようです。

Sweets on a trolley
 イギリス出張の際にホテルでの会食に招かれた時のお話です。ローストビーフやグリルドターキーをこれでもかと言うほど食べた後に見せられたメニューカードには、”Favorite sweets from a trolley”と書いてありました。このレストランには模型の電車がデザートを運んでくる仕掛けでもあるのかと思って辺りを見回しましたが何もなく、やがて給仕がコーヒーとケーキを乗せたワゴンを押してきました。私の告白でその後の会話が盛り上がったことは言うまでもありません。

 100年以上の昔、西洋人が工事の指揮をしている現場に線路が敷かれてトロリという台車が使われていたことから、トロリ→トロっ子→トロッコになったという話を聞きました。「ドジョッコだのフナッコだの」トロッコだのですね。