2020/12/25

ご近所パワー


  さてここまでは専用軌道でしたが、その先は道路から玄関への通路を横切るので踏切というか併用軌道になります。その構造は至って簡単、ホームセンターで売っている30cm四方のコンクリートタイルをレールの間と両側に並べることで解決できます。ゲージは381mmですから約40mmずつのフランジウェイが確保できますが、そのままだとタイルが動いたり、タイヤと両側のタイルが接触したりする恐れがあるのでレールの両側に角木材を挟み込んで枕木に木ねじで固定します。
踏切(併用軌道)の構造

 この通路は毎日、郵便・宅配便の配達をする人や我が家を訪問してくるご近所の人、時には乗用車やトラックが入ってきます。そう、レールの輸送時は4トン車も玄関先まで来ました。というわけでこの区間の工事は最短時間で済ませる必要があり、通行止めの弊害が出ない工法を考えないといけません。枕木とレールは別の場所で組み立てておいて、突貫工事で整地と砂利入れを行った後、線路とコンクリートタイルを置く方法を取ります。組立てた軌框は、ご近所のお孫さん達が夏休みにトロッコ遊びに来た時に犬釘打ち体験を兼ねて完成させておいたものです。記念として枕木にサインしてあります。人海戦術を執るために予めご近所でお手伝いをしてくれる人に声をかけ、それに合わせて資材の準備などをしておきました。

すでに完成して設置を待つ軌框       総出で路盤を掘り込む作業
力を合わせて運搬
 作戦実行当日の朝、私と家内を含めて
総勢9
人が庭に勢ぞろいしました。気心が知れたご近所さんばかりですが年齢は全員60歳以上、安全に留意して無理はしないよう訓示してから作業にかかります。まずは既設の線路との水平を確認しながら路盤を掘り込んで行き、取り除いた土砂は一輪車で将来の延長予定地へ運搬して盛土にします。砂利を入れたらまた水平を確認して、全員で線路を運び込みます。ゼネコンに勤務していた経験のある一人が遠方から直線度を見ながら土木専門用語を交えて指示を出し、テコやハンマーで線路の位置を微調整して接続します。コンクリートタイルをはめ込んだのが昼過ぎで、通行止めが解除されました。一人でコツコツ
休憩中にトロッコ遊び
やっているとひと月近くかかる仕事が半日で終わってしまいました。

 当地は、ほとんどの世帯が現役を退いた後第2の人生を送るために移住してきた方々で占められており、サークルや町内会の活動で多くが普段からお互い顔見知りです。密接した住居でありながら壁一枚向こうの家族構成や職業さえも知らない大都会とは、まるで次元が違うのかと思うほどの世界です。それでいて古い因習に縛られるような田舎の堅苦しさはなく、付かず離れずのほど良い距離を保ったご近所づきあいが根付いています。高齢者が多いので日頃から助け合い、菜園で採れた作物や知り合いの漁師さんからもらった新鮮な魚をお裾分けすることも日常茶飯事になっています。たとえ趣味であれ、線路を敷くのに人手が要るとなるとお助けマンたちが駆けつけてくれる、ありがたいコミュニティだと感謝することしきりです。

 目標である表の道路までもう一息になりました。

コンクリートタイルを置いて踏切(併用軌道)がほぼ完成

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