話せば長くなりますが釣り好きの話を聞いてください、最後の方で大沼電鉄につながります。
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| これが雨鱒です |
19世紀末ごろ(大沼電鉄発祥の30年以上前)この地に硫黄鉱脈と鉄鉱石鉱脈が発見され、後に開発が進んで1960年(昭和35年)に閉山されるまで採掘が続けられていました。戦後硫黄は石油精製の副産物として安価かつ大量に生産されるようになったため事業は破綻し会社は解散してしまいました。以来止水工事などが行われないまま60年以上強酸性(PH2)の廃水が坑口から流出し続けています。このような「義務者不存在の休廃止鉱山」は全国に100ヶ所以上あるとも言われています。隣の精進川も坑口から流れ出る同様の強酸性水に汚染されています。精進料理では肉や魚が出されないことから、魚の棲まない精進川という名前になったのではないかと聞きました。雨鱒川と精進川が流れ込む折戸川下流部は我が家から一番近い川ですが、ここで竿を出しても魚は釣れず、常々残念に思っていました。
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| 折戸川との合流点の少し上流の雨鱒川の様子 鉱山からの鉄分で川底が赤く変色しています |
数年前、「雨鱒川、精進川の鉱害防止対策」という説明会が鹿部町民向けに開催されました。北海道大学の環境循環システム部門の佐藤教授が両鉱山の歴史や汚染されている現状について解説され、続いて画期的な、しかし実現できるかどうかわからない、水質改善策について研究内容が報告されました。私は折戸川に魚が戻ってくることを期待してどんなことをすれば川がきれいになるのか、本当に実現できるのか耳を傾けました。国の補助金を使って水質改善実験が行われるようになり、その後一年ごとにその進捗報告会が開かれました。私は毎回出席して徐々に具体化する水質浄化事業の足跡と将来の形を見守ってきました。折戸川にアメマスが戻るにはまだまだ年月を待たなければならないけれど、その取り組みは着実に進歩していることが確信できました。
その原理は以下の通りです。小学校の理科室で石灰水に息を吹き込むと白濁する実験をしたことがあると思います。カルシウムなどを含む水が大気と接するとCO2が吸収されて水中で炭酸カルシウムに変わります(白濁します)。カルシウムが多く含まれる水を作るには岩石を水中に入れて溶け出すのを待たなければなりませんが、強酸性の川の水なら数千倍のスピードで溶け出すことがわかっています。つまり玄武岩など地上に無尽蔵にある石を砕いて強酸性の川に撒くと石が速く溶けるとともに河川水が中和されます。さらに溶けた石の成分が大気中のCO2を吸収するという理屈です。
なぜこの強酸性の水を中和する方法が画期的かと言うと、川を浄化するだけでなく近年温暖化の元凶とされるCO2を効率よく吸収すれば、その量に応じてCO2を大量に排出している企業(航空会社、電力会社など)が買取ってくれるので(カーボンクレジット)、結果的に無償で事業を継続できるというのです。場合によっては事業原価を上回る収益を得ることもできる夢のような話です。さらに川に投入する中和剤として岩石の代わりに鹿部町特産のホタテの貝殻や一部の産業廃棄物が利用でき、川を浄化したカルシウムは海にもどって再び貝の成長を促すので一石三鳥、いや四鳥くらいの話なわけです。
過日、北海道大学の研究陣(指導教員、研究に携わる学生、共同研究の他大学((早稲田大学他))の学生達)が雨鱒川で実験(中和剤投入、PH測定)を行っている現場を見せてもらう機会があり参加しました。今にも熊が出没しそうな山奥へ林道を何kmも走ったところに旧坑口があり、胴長靴に濡れながら必死で中和剤を投入する姿や熊に怯えながらサンプルを採取するところを見ました。坑口の近くにはかつて鉱山で働いた人の集落やズリ山があったとのことですが、今では草木に覆われてかすかな地形の変化にそれを偲ぶ程度でした。
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| 道路に転用された大沼電鉄廃線跡 単一半径カーブが線路を偲ばせる この先で雨鱒川を鉄橋で渡ります |





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