4月になってようやく気候が落ち着き、屋外で電車作りの作業が出来るようになりましたが、良きにつけ悪しきにつけなかなか思うようにコトが運びませんでした。それでも台車にケリをつけないと楽しみな車体製作に移れないので、頑張って「台車完成!」と言えるよう面倒な仕事を後回しにせずこまごまとした作業を続けました。
残っていたのは側受け部、心皿取付け部、、軸受カバーの製作および上塗り塗装(タッチアップ)です。
1.側受け
心皿(センターピン)には市販の回転盤を使うことにして通販で入手済みでした。これはテレビ台の回転部とか工場の組立作業台などいわゆるターンテーブルと呼ばれる箇所に使われる部品で、上下の板金に円形の溝をプレス加工しベアリングボールを挟み込んでカシメ加工により一体化したものです。以前に回転椅子をDIY製作した時使用したところ、耐荷重は充分にありましたが椅子にもたれて偏荷重が加わると壊れはしないものの板金が変形して安定性が損なわれてしまいました。これをそのまま心皿として使用すると車体が傾いた時、つまり人が乗り降りしたり曲線通過で遠心力を受けたりした時にやはり変形してしまい安定性が失われる可能性が懸念されます。そこで車体下部の心皿両側にローラーを取り付けて偏荷重は台車のボルスターに取り付けた側受けにかかるようにします。台車が曲線で回転した場合にそのローラーが転がる部分をt6の鋼板で作ってあります。
2.心皿取付け部
回転盤の上下2枚の板の隙間は10mmもありませんのでこれを直接台車と車体に取付けることは不可能ではないにしても、実際には上下分離などのメンテナンスが出来なくなってしまいます。そこで上下の板をネジ加工が出来る別の部材に固定しておき、車体内部の充分広いアクセススペースからボルトで台車の着脱が出来るようにしました。実は昨年台車の仮組立てをした段階ではこの部分の構造はまだイメージしかなく、庭が雪に閉ざされている期間に設計図面を作成したのでした。
心皿部の詳細設計図 |
当初外注による部品加工を前提に検討していましたが、せっかくチップソーとボール盤を購入したのでこれらを有効利用して部品製作しようと再設計し直しました。台車の構成部材であるt6×32および□12の残材にネジ加工して回転盤に固定しますが、上にも書いたように回転盤の隙間がわずかしかないので六角ボルトの頭の厚さを3mmまで削り取りました。またスプリングワッシャーも入れられないため、貫通したボルトの先端にダブルナットを噛ませて緩み止めにしてあります。
心皿部詳細 |
3.軸受カバー
ボール紙製フランジボルト穴 位置決め用治具 |
日車製の軽量気動車は起動時の摩擦抵抗を小さくするため当時としては珍しくコロ軸受を使用しており、軸箱端面には四角いフランジに円盤状のカバーが取り付けられています。外注加工すれば金属製の部品として作ることもできますがフライス工程が必要でかなり高価になりそうです。これは単なる飾りだと割り切れば木製で充分であり、過去に作った直接制御器の逆転器ハンドルに比べると形状は単純であり、ドリルレースで製作することにしました。t15×□80のフランジをクリ材の板から切り出し、中心にボスが通る大きな穴をホールソーで明けます。次にピローブロックのネジ穴加工に使ったボール紙製治具を当てがって四つのボルト穴を明け、角をR10に仕上げます。そこにφ70の炮烙状にドリルレースで削った円盤を接着すればそれらしくなり。ラッカーパテを塗ってサンドペーパー仕上げを3回位繰り返し、黒色ペイントを塗れば完成です。同じ治具でネジ穴と通り穴の位置出しをしたので何の干渉もなく取り付けることができるはずでしたが、木に竹を接ぐ例えの如く鋳鉄のピローブロックと木製の軸受カバーはなぜか穴位置が全然合わず、木工用丸ヤスリで一個ずつ拡大調整するはめになりました。8個作るのに仕上げ塗装を含めて実質5日ほどかかってしまいましたが出費はゼロ円で済みました。
軸受カバーの製作過程 と 完成品 . |
4.上塗り塗装
仮組み後に製作した部品や相マーク代わりに貼り付けていたテープの跡、ボルトの頭、なぜか塗り忘れていた部分、雨に濡れて発錆していた部分などに黒色ペイントを塗ります。バネやバネ座などは組立分解作業の際に塗膜が剥がれていたので取り外し、上記の側受けや心皿部の部品も分解して塗り直します。
軸バネやバネ座を取り出す分解の際には下フレームのみを取り外します。これ以外の部材を分解すると、苦労して合わせたネジ穴がずれたりペデスタルの平行度や隙間の具合が狂ったりしてしまうからです。
最後に軸受カバーを取り付けてからメッキが光るボルト頭を黒色でタッチアップすると、昨年夏から作り始めたTR27はここに至って遂に完成を見ました。2台並べてしげしげ眺めると、いろんな困難があってなかなか効率的な作業ができなかったものの、時間をかけて丁寧に組立て、必要な部品を安易に省略しなかったことも幸いして非常に実感的な仕上がりになり、感無量の思いがこみ上げてきました。
遂に完成 お見事! 自画自賛 |
次はいよいよ車体の製作にとりかかります。
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