2024/03/01

待避線(余談雑談) 自分の趣味を存分に楽しむ

 決して好きではない仕事に追われる日々を過ごしていた頃に比べると、老後の生活は生きたままの極楽です。線路の敷設や電車の製作をしたり、釣りやスポーツに興じたり、好きなことをしているだけで一日が終わります。と言うとそれはウソで、たまには面倒なこともせねばなりません。例年この季節、確定申告で医療費やその他の証憑をかき集める作業が待っています。難しいとか知恵を絞らないといけないというわけではないのですが、普段から整理整頓が苦手な性分なのでとにかく着手前から気が重いのです。

 じゃぁ電車を作っている時はずっと楽しいばかりかと言うと、それも作業の内容によって腕や肩や腰が痛くなったり息切れしたり、身体が言うことを聞いてくれない時は嫌になることがあります。設計や組立で行き詰ったり、計画通りに進まなかったり、こんなことしていていいのだろうかと悩むこともあります。しかし、よく考えてみると誰かから給料もらってやっているわけではありませんし、予定の期日までに終わらないからと言って責任を問われたりはしません。人間は快楽だけに満たされた生活なんか絶対にできないように創られていて、かならず一定の苦しさや悩みが湧き出て来るようになっているのだと思います。そういう煩わしさを上手くあしらいながらできるだけ楽しく生きることで喜びも倍増するのだと考えればそんな人間の性にも納得できます。

 私の人生経験から得た楽しく生きるコツは「よろしくない人間関係に振り回されないこと」です。社会生活をしていると、自分が選んだわけではない人と関係を持たざるを得ないことが多々ありますが、そういう場合の付き合いは最小限に留めるように心がけてきました。一方で鉄道趣味は基本的に自分一人の世界ですから人間関係が問題になることはないはずです。ただし同志が現れて一緒に線路や電車を作ろうということになったり、サークルの世話役を引き受けることになったり、誰か(または何らかの団体)のために電車の運転を披露したりするような場合には色々と気遣いしなければならなくなります。ここで作業や運営上の意見が食い違ったりすると(まず間違いなく食い違いは起こります)、一緒に楽しくやろうという前提が崩れてしまい、再調整が必要になってきます。鉄道好きが同じ話題についておしゃべりをするのは本当に楽しいことで、時間が過ぎるのも忘れて話し込むこともあり、私は大好きです。語り合っているだけの間は互いに敬意を持ち続けることが可能なので考えに差があっても問題は起こりませんが、具体的にモノやコトを動かす上で意見が異なると簡単に解決できず、エスカレートすると信頼関係にも影響を及ぼしかねません。前にも触れましたが私はメンタルが弱いので、そういう状況に遭遇すると途端に気が滅入ってしまい、趣味を楽しむどころではなくなってしまうのではないかと懸念するわけです。

 庭の電車は私自身のため、趣味の心を満たすために作ったのだということをあらためて肝に銘じた上で、ご近所を始めとする世間とのお付き合いを続けて行こうと思っています。

2 件のコメント:

  1. こちらでは初めてコメントさせていただきます、ブログ「一生鉄ヲタ宣言」のNAVIEWです。先日は当ブログにとても嬉しいコメントをいただき、誠にありがとうございます。
    仰られていた「よろしくない人間関係に振り回されない」という言葉が身に沁みます。15インチゲージ鉄道を持つ、という夢を持ってからの迷いの1つが、どの程度の規模でやるのか、ということです。どうせやるなら大規模に線路を敷いてみんなでワイワイ楽しみたい、とも思う一方で、誰にも口出しされず1人で自由にやりたい、という気持ちもあります。同士であっても「一緒に」何かをするということは気づかいや衝突を生み出すもので、20年以上の付き合いになる先輩方とのNゲージ運転会でさえ、それが全く無いわけではありません。ましてや、知り合ったばかりの方と一緒に事を進めたり、一般の方を招き入れて運転会をしたり、ということになれば尚更です。一度大きく始めてしまうと後戻りは難しいと思われるので、15インチゲージとどのように付き合いたいのか、自分はその気遣いや衝突を「楽しむ」ことができるのか、今後も慎重に考えていきたいと思います。
    今後の更新も楽しみにしております。長文失礼いたしました。

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    1.  NAVIEWさんコメントありがとうございます。
       なかなか冷静な見通しをされているようで恐れ入ります。初めは楽しいことばかり想像して、無理な線路の引き回しや車庫に入りきらないくらいの車両増備、たくさんのお客さんの接待方法など、頭を悩ませたものです。ところが私の場合は不便な土地柄もあって、通りがかりの人やご近所さんのお孫さんがたまに見に来るくらいで、わざわざ遠方から見学に訪れる人は滅多にいません。ましてや一緒に鉄道作りをするような同好の士と出会う機会もありませんでした。実はそういう人がいたらいいなぁと思っていたのは事実で、ちょっと寂しい気持ちはありますが、今じっくり楽しめるのはそんな環境のおかげだったのかなと考えています。人との付き合い方はそれぞれなので自分一人だけの世界が絶対的にいいとは言い切れません。私には「気遣いや衝突を『楽しむ』」という発想はありませんでしたので、そういう気概をお持ちのNAVIEWさんに期待したいと思います。
       まぁそんなことも含めて、これから建設しようとする鉄道の規模やテーマを冷静かつ計画的に立案することはとても重要ですから、実際に着手するまでじっくり考えて準備を整えられることを私も楽しみにしたいと思います。

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