前回の投稿で車両の細密表現が出来るのは15インチゲージのメリットであると締めくくったので、デメリットについても書いておこうと思います。どちらかと言うと余談雑談の類ではありますが、少し大げさに言うと大型鉄道模型の何たるかを意味づける話ですので力を入れて書きます。
16番の自作気動車 珍しく手すりが付いています 連結器は取り付けてあったけど外れてしまったか |
小さな模型が思い通りにならないのは単に自分の能力不足だけが原因ではありません。例えば模型を走らせるためにパワーパックのツマミを回すと急に動き出し、戻すとガクンと止まるのは慣性力と摩擦力の関係が実物と大きく異なるという物理上の問題で小型ゆえの宿命です。高周波パルスによるスロー運転やトランジスタ制御(当時の表現)でそれなりの改良はされていたようですが、軽薄感は如何ともし難かったと思います。赤ちゃん返りではありませんが一時的にOゲージに足を踏み入れて惰行運転を試みたことがありました。どこかの公園で何人もの大人が乗った5インチゲージ列車を見て強い憧れを抱いたこともありました。鉄道模型趣味にはなにかそういうモヤモヤした欲求不満がくすぶっているような気がします。
せんだんは双葉より芳し |
それでも15インチゲージの電車は16番に比べると圧倒的な大きさと重量感に加え、体に伝わる音や振動、揺れ、加速度が実物に近いことを感じさせてくれます。何より車内に乗り込み、運転席の窓から線路を眺めながらコントローラーやブレーキハンドルを握って意のままに動かすと、もうこれはまさに自分ひとりだけの世界です。
そこにどんな欲求不満があるかと言うと、限られた敷地の中で運転を楽しむためには急カーブの線路を敷かなくてはならないことが挙げられます。あるいはそのカーブを通過できる車両の長さや種類が自ずと限られてしまうという制約があります。ホイールベースの短い2軸車か、ボギー車でも全長を詰めなければなりません。森林鉄道や軽便鉄道をモデルにするのは一案かもしれませんが、HOnスケールのテーブルレイアウトみたいに庭をグルグル回るのは見る分には楽しいけれど運転向きではないような、 、 。
海外ではとてつもなく広い原野や森林の中を走る乗用鉄道模型のYouTubeを見ることができます。そのオーナーに欲求不満はないか聞いてみると多分「模型ではなく実物の列車を走らせたい。」と言うと思います(個人の想像です)。
海外ではとてつもなく広い原野や森林の中を走る乗用鉄道模型のYouTubeを見ることができます。そのオーナーに欲求不満はないか聞いてみると多分「模型ではなく実物の列車を走らせたい。」と言うと思います(個人の想像です)。
もうこれは庭園鉄道ではありません |
以下15インチゲージのデメリットとメリットを思いつくままに書き上げてみます。
デメリット
〇小さな模型に比べて作るのが大変、時間がかかる、費用がかかる、広い土地が要る。
〇前例が少ないので作り方がわからない。
〇市販の部品、半完成品が少ない。あっても高価。
〇家族の理解を得るのに苦労することがある。
〇実物の車両の重量感、存在感には及ばない。もっと大きな車両が欲しくなる。
〇線路とトロッコが出来てしまうと楽しすぎてその先に進めなくなる。
〇毎日好きな時に電車の運転が出来るが、それが日常になってしまうとありがたみが感じられなくなる。
デメリットと言っても工夫次第でなんとかなりそうですね、後半は贅沢な苦労です。
メリット
〇車両が大きくて重量感がある。惰行運転が出来る。
〇乗り込んで自分で運転できる。振動や音響、加減速度が体感できる(シミュレータと違う)。
〇細密加工が可能である。実物のメカニズムを取り入れることができる。
〇人を乗せると喜んでもらえる。子や孫から尊敬される(と思える)。
〇実物大の車両に比べるとコンパクトで扱いやすい。
〇庭の電車を見るだけで癒される。
〇どんなに悔しい場面でも「ウチの庭には乗れる電車があるンだぞ!」と心の中で呟けば耐えられる。
まだまだありますが書ききれません。
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