前々回の投稿で分岐の先にエンドレスの一部となる線路を延長したことを書きました。ここは道路から母屋の玄関に至る通路を横切るので、その後レールの間に敷石を置いて踏切(併用軌道)にしました。その構造は2020年12月25日投稿の「ご近所パワー」に図示してあります。今回は曲線であるためレールとコンクリートタイルの間のスペーサーとなる木材が直方体ではなく加工に時間を要しました。
新設踏切 |
ようやく完成したこの区間に電車を乗り入れたところ、フルノッチにもかかわらず急激に速度が低下してモーターが唸り、ノッチを戻すと同時に「ガクン」と停止してしまいました。逆転レバーを回してノッチを入れると少し動いてまた止まってしまいます。敷石を入れる前は急カーブで喘ぎながらもがんばって走っていたので明らかに何らかの異常が発生しているようでした。結局手押しで脱出しましたが、何かが引っかかっているのだろうと思うほど抵抗があり、直線部分まで戻るとウソのように軽くなりました。
スペーサー上に残った2条の黒いスジ 曲線の外側が前輪、内側が後輪の跡 |
差動滑りと横滑りについては2021/5/22投稿「鉄道用車輪の話」に書いていますが、あらためて説明すると以下の通りです。鉄道用車輪のように一本の軸で固定されている左右の車輪が曲線を通過しようとすると外側の車輪は内側より長い距離を走行しなければならないため、踏面にテーパーを設けて外輪がレールと接する部分の直径が内輪より大きくなるように工夫されています。ところがその前提を越えるような急曲線を通過しようとすると内外輪のいずれか(あるいは両方)とレールの間に回転滑りが生じ、また直進しようとする車輪をレールに沿って曲がらせるために横滑りが発生することになります。
今回の、木製スペーサーとフランジ外周が接触して走行抵抗が想定外に大きくなった事象は、スペーサーを削って厚さを減じることで解決しました。
それにしても急曲線は庭園鉄道の宿命です。とはいえ実物の鉄道で国内最急は豊橋鉄道市内線の半径11mですから1/3にすると約3.7mで、半径4mや5mは現実にはあり得ないと言うほどの急カーブでもなさそうですし、森林鉄道ではもっと急なカーブもあったようです。通過可能な曲率は固定軸距や軸重、軸バネの有無など台枠や台車の構造の他、レールの表面状態(水平、凹凸や潤滑)などによっても影響を受けるので一概に決められるものではありませんが、限界を超えるとフランジがレールに乗り上げて脱線してしまいます。単に走行抵抗が大きくなると言うだけの問題ではありません。
色づく秋の風景 |
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