3.前後切替軸
現合で作った切替機構 |
金属製と見まがう切替ハンドル |
重厚感あふれる金属製主ハンドルと比べると、見た目は遜色ありませんが切り替えのために動かしてみると木製ハンドルはどうしても軽薄な感じが免れません。「ガチャン」ではなく「プチッ」と動きます。
4.天板
天板の鋳物を作るわけにはいかないので木材を加工して最後にメタリック塗装します。仮に鋳物にするとしても木型が必要になるので、その段階までの手間は同じです。図面に従って楕円形に切り出した板の上縁外周にR加工し、外周から10mmの部分を残して2mmの深さで彫り込むことにします。彫刻刀、ノミ、カッターナイフなどを使ってノッチの目盛りと「OFF」「FWD」「REV」など浮き彫りにする部分を残します。削り過ぎてもパテで修正ができるので神経を使う作業ではありませんが、根気は必要です。ハンドルの左側にメーカーや形式名が入るスペースがあるので大沼電鉄の社紋を浮き彫りにします。
文字を浮き彫りに |
金色のラッカースプレーは適度な艶がありながら磨いた金属みたいにピカピカではなく、真鍮製の主ハンドルによく似た質感になり、全く違和感がありません。何も言わなければ金属製の加工品と木製の塗装部分の見分けがつかない仕上がりになりました。見た人はそれをどうやって手に入れたか質問します。「作った」と聞いて驚き、「木製」と聞いて目を疑います。
5.カバー
天板の楕円形(長短2種半径の円弧の組み合わせ)に合わせて曲げた薄板を取り付け、手前側はメンテナンスのために取り外せるようにします(実物と同じ)。曲げ作業は鉄工所にロール加工を依頼します。曲率は図面に指示した通りにならないことが予測されるので、後でも修正ができるようにt1のアルミ製(材質A5052)にします。木製の天板と底板の側面に鬼目ナットを打ち込んでビスで固定しますが、現物合わせになるので穴の加工は最後にします。
完成後に吹き付け塗装した結果きれいに仕上がりました。アルミ表面への塗料の食いつきを懸念していましたが、乗降時に誤って蹴とばしても剥がれるようなことはないようです。
6.制御器の組立配線と取付
各機構部品を取り付けてから配線をします。線ごとに色分けした実体配線図を作り、各部品は端子台を経由して接続作業をするわけですが、どうしても意のままにならない部分があって結局配線図は役立たず、記録の用も果たさないままお蔵入りになってしまいました。それでも経路ごとに線材を結束して、旧制御器よりは複雑な割にまとまった配線になったと満足しています。
お蔵入りの色付き配線図 この通りの配線はできなかった |
完成した制御器をデ1の前に置いて記念写真を撮影しました。なかなかの出来ばえです。見た目はチョッと小さいけれど立派な憧れの直接制御器です。「ガチャガチャ」とハンドルを回すと、いやがうえにも早く電車に取り付けて運転してみたいという思いに駆られました。
完成記念写真 |
旧制御器を取り外してすぐに交換できるよう電源ケーブルやコネクターを事前に準備していた割に、寸法が合わなかったり取り付け予定場所の不都合があったり、あげくは長雨で作業ができなかったり(基本的に屋外作業です)、結局ひと月近くも運休の日が続きました。そして抜けるような秋空のもといよいよ試運転にこぎつけました。
ハンドルを回すと我がデ1はゆっくりと動きだし、ノッチを進めるにしたがって加速していきます。別に以前より速く走るわけでもないのに、心なしか宙に浮いているような、そう初めて山陽電車の2000型に乗って揺られたときのような感激が込み上げて来ました。「ガチャガチャガチャ」っと一気にハンドルを戻すとモーター音が変わって惰行に移り、ブレーキをかけると静かに停止します。
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