2021/06/23

窓枠と乗降扉

  知り合いや道行く人から「とうとう出来上がりましたねぇ。」と声を掛けられることが多くなりました。もちろん製作過程を知っている人が、以前の無塗装や仮屋根の車体を思い浮かべると確かに完成度は高くなったように見えます。16番模型では屋根上のディテール取り付けが終わったらほぼ完成と言えますが、車体構造の違いからこの電車にはまだ窓枠や扉がついていません。作り鉄がペーパーで車体を作る時、窓枠や扉の凹み具合はもっともこだわる部分です。紙の厚さを微妙に変えたり、2段窓の上下に段差をつけたり、カッターで切り抜く際にテーパー状にしたり、サーフェーサーでの仕上げにも気を遣います。この工程を最後まで残していた理由もそういうところにあります。だから前照灯やポールがついた時も自分では「完成に近づいた」とは思わず、あえて「ここからが勝負」と気合を入れなおしました。

窓枠の構造
 窓枠の製作には薄合板から切り抜くのが簡単で、ジグソーを使えば隅のR加工も問題なくできそうです。そこでまた家具工房「わ」を訪ねて相談に乗ってもらいました。結論は、上下左右の枠を段付き加工して接着組立し、一段凹んだところに窓ガラス(透明塩ビ板)をはめ込むということになりました。お抱え工房ならではの贅沢加工作業です。窓のサイズと構造が側面と妻面、扉で異なるので、何種類もの図面を描き、長沢さんに付きっきりで寸法指示を出しながら加工してもらいました。

 出来上がった窓枠素材の検品をして反っているものを除けたところ、数が足りなくなってしまいました。最初に車体の側板や妻板を加工した時は、それほど不良品は出なかったのですが、今回使った材料は乾燥が不十分だったのか加工して日数が経つと許容できない程に変形するものが多数ありました。延長線路の枕木用として購入したアカシア材を1年以上庭で保管していたところ、覆っていたブルーシートが破れて雨が浸み込み、乾燥したつもりが逆に水漬けになっていたようです。追加加工や修正をしたうえで必要数を揃えて組み立て再スタートです。

窓の仕上がり
 窓枠の段部に接着剤を塗布し、クリップで一昼夜固定固着させます。さらに上の二隅にR加工したコーナー材を接着して窓枠完成です。コーナー材はホールソーでφ30の穴をあけてから四方を切出すと作れます。2mm厚の透明塩ビ板から「窓ガラス」を切出し、周囲6ヶ所に木ネジ用の皿モミ加工をし、塗装した窓枠の3mmの凹みにはめ込んで固定します。塩ビ板の平面度は心配でしたが問題ありません。この窓枠を側板の内側からウィンドウシルのテーパー面に乗るように木ネジで固定します。当面内装はしないつもりなので木ネジや窓枠の端面などは丸出し、車内からはスキマを通して外の光も透けていますが、外部からは良く出来た造作に見えます。

 扉は「日」の字形に組んだ枠の上半分に同様の窓枠を取り付け、下半分はベニヤ板を貼り付けています。この扉を開閉構造にするために、スライドレールという机の引出しなどに使う3段式の伸縮機構を利用します。扉の開口は370mmですが、戸袋部の制約などがあって最大ストロークは約350mmとなります。辛うじて私が出入りできるギリギリの幅で、後に乗降をしやすくするためのカラクリを図ります(「鹿部電鉄の秘密」というYouTubeで公開https://www.youtube.com/watch?v=3ZsPVNWHY0E)


扉の下部と車体台枠および扉の上部と構体枠をスライドレールで結合して扉が前後に動くようにします。これを取り付ける際に側板を一旦取り外すのですが、上下のスライドレールを完全に平行にしてスムーズに動くように調整してから側板を再度取り付けると、構体枠が歪んで扉が動きません。4ヶ所とも完全調整することはあきらめました。運転のために乗降するのは1ヶ所だけだからです。扉を取り付けるために側板を外した状態で写真を撮りました、どこかの私鉄にデト〇〇と称するこんな電車があったように思います。

鹿部電鉄デト1
白く光っているのがスライドレール

 あと車番や社紋の書き込みやらディテールの取り付けなどが残っていますが、これでやっとデ1型電車がほぼ完成したという区切りになりました。

名刺裏写真
電車の脇に立ち、三脚を使って記念写真を撮影しました。電車との位置関係を変えて何枚か撮り、名刺の裏に印刷しました。名刺と言ってもビジネスに使う場面はありませんので、くだけた感じで初対面の方に「毎日こんなことして遊んでますねん。」と自己紹介します。表は「鹿部電気鉄道」です。

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