2021/01/24

電車台枠と台車の製作

  台枠はウッドデッキの材料として余分に購入していたクリ材で、無蓋車と同じく「目」の字形に組立てることにしました。ただし妻板の下に見える端梁部分は曲面(1000)に加工する必要があり、電動丸鋸で粗削りした後カンナや木工用ヤスリ、サンドペーパーで仕上げます。この辺りが1/80模型と違うところで、骨が折れるというか、木ではなく気が削れるばかりの作業になります。縦と横の接合部には山形鋼(Lアングル)を当てがって正確に直角を出しました。無蓋車の製作で学習した成果です。

木製台枠
 台車は、モデルのデ1型が当時の2軸電車の典型であるブリル21Eを履いていたのでその形を模したものにしようと考えました。この台車は下の写真に示されている通り、車軸を受けるコの字型の枠を鉄の棒で繋ぎ、バネで車体台枠を支える構造になっています。実物は鍛造により一体成形されているようです。その構造のままスケールダウンするのは困難なので、角型鋼管を溶接してそれらしい形にアレンジします。軸受は車体から見て前後左右方向には動かず、上下方向にのみバネを介して自由度が与えられるようにしなければなりません。実物のブリル21Eではコの字型枠の内部を軸受けが上下に摺動するペデスタル構造になっていますが、この「なんちゃってブリル台車」では軸受けに無蓋車と同じピローブロックを使用し、台車枠に防振ゴムを介して半固定します。その代り車体台枠との間に入るバネの中心にガイドバーを設けて角型鋼管製台車枠ごと上下方向にのみ自由度が与えられる構造にします。疑似円筒案内式とでも名付けましょうか?バネ下重量が大きくなりますが、高速走行するわけでもないので実害はありません。
ブリル21E(函館市電上)となんちゃってブリル(下)

 車輪、車軸は無蓋車と同じ寸法にしますが、動力を組み込む関係でそれぞれにキー溝加工をし、チェーン駆動用のスプロケットを取り付けます。駆動方式が未定のため、両軸駆動になることを想定して2軸とも同じ加工をします。函館市内には造船所もあり金属加工工場がたくさんありますが、各種の加工(切削、板金、溶接、表面処理)に対応できて趣味のものづくりに付き合ってくれる町工場を探しました。その結果柴田工作所が理解を示して、車輪の素材手配を含めて加工に応じてくれることになりました。その後も大物小物の加工で世話になり、無理も聞いてもらって重宝しています。

台車の詳細と組立手順

台車組立経過の実態
 台車枠は角型鋼管60×30×t3を用いた溶接構造です。車体台枠との結合部にあたる台枠板は厚さ4.5mm、幅100mmの平鋼なので、所定の長さに切断し、前記のガイドバー8本を取り付けるためのケガキ、穴あけも自分で行いました。ガイドバーが台車側のガイドの内側をうまく摺動できるように台車側にも穴あけ、タップなどの追加工をしました。バネや軸受とガイド関連の部品は通販で購入、全ての部品が揃ってから組立てました。ところが悲しいかな、ガイドの摺動穴部には直径で2mmの余裕を持たせてあるにもかかわらず、取り付けねじを締め付けると8本のガイドバーが好き勝手に相手側の穴に強く擦れて動かないという事態になりました。元々台車枠の構造上、メジャーと物差しだけを使って精密なケガキをすることが難しいのは事実ですが、粗雑な作業の結果を嘆かわしく思いました。すべてのねじを緩めて可能な限り偏りを修正し、多少の荒療法も交えてなんとか8本のバーがガイドの中を動く状態に辿り着きました。ここでバネを入れて台枠が上下方向に動くことを確認しました。台枠の前後端に体重をかけるとギシギシと鳴るもののバネが撓む様子が感じられ、無蓋車とは全然違う感触を得ることが出来ました。なお運転手が乗る側とその反対側(運転機器のない側)でバネの硬さを変えてあります。バネ定数は、運転手側で約2kg/mm、バネは片側に4本あるので8kg/mmとなり、バネが最大20mm撓んだ時の荷重は160kgということになります。反対側は約1kg/mmで同じく80kg。つまり、運転手の体重を80kgとして車体総重量は最大160kgを想定しています。計算通りに車体が仕上がるでしょうか。

台枠と台車の完成状態


0 件のコメント:

コメントを投稿