2021/01/21

電車の基本構想

 2016年はいよいよ電車の製作に着手することになりました。鹿部に来る前から大沼電鉄の2軸電車を作ることは決めていて、すでに外観図も描き上がっていました。作り慣れた16番の模型ならボール紙に線を引いて切り抜きにかかるところですが、15インチゲージの電車は車体、台車、駆動部とも1/80の模型とは全く構造が異なります。異なっていると言うよりも、その構造を自分で決めなければなりません。ボール紙の代わりにベニヤ板から切り抜いて補強部材と貼り合わせるのも一つのやり方ですし、実物のように台枠に骨組みを固定して外板を組み付けていくことも考えられます。鉄道関係の書籍やインターネットで昔の木造電車の車体構造を調べることから始めました。皮肉なことに、野ざらしで朽ちていく車体の写真や廃車を解体する過程で撮影された資料があり、それらをつぶさに観察して参考にすることができました。 

駒ヶ岳をバックに大沼湖畔を走るデ1 絵葉書から
デ1型電車完成図
当時の構想図ではなく電車完成後に作成したもの

 できる限りモデルである大沼電鉄デ1型に倣い、基本的に以下の構造で、設計製作することにしました。あえて書いていませんが、私自身が乗り込んで運転できる電車であることは大前提です。

①木製台枠と木製構体に短冊状の外板(羽目板)を組立てた側板、妻板を貼り付けることとし、取り外し可能な木製屋根を被せる。

②ブリル21E型台車に似せたバネ付き鉄製2軸台車を台枠に取り付ける。

③駆動装置は手持ちの可変速モータ(AC100V40W)を使って試作し、検討する。

④ブレーキはメカニカルリンク式を試作し、検討する。

⑤その他外部に付属する部品はスケールモデルとしての形態を保持しつつ、相当の強度と耐久性を確保する。

⑥庭に敷設した線路(計画中の部分を含む)を支障なく通過するために、車体幅は800mm、ホイールベースは800mmとし、側板の窓2個分を短縮して全長約2500mmとする。

⑦駆動装置およびブレーキは試作検討結果に応じて、将来本格的機構を再設計する。

 設計・製作の順序は以下の通りとしました。ただし、塗装はその都度行います。

①木製台枠

②鉄製台車(外注)

③車輪・車軸(外注)

④ブレーキ試作、試験

⑤駆動部試作、試験

⑥木製構体(枠組)

⑦側板・妻板

⑧屋根

⑨ポール・前照灯・連結器

⑩窓・扉

⑪仕上げ(車番・社章)

図面は組立図、部品図毎に採番して分類
 基本構造と製作方針が決まったら図面にして確定します。自分で作るのだから忘れない程度のメモでよいかとも思いますが、初めてのことなので記録に残して方向がブレないように釘を刺しました(木造車体なので)。こうしないと浮気な性分なので作っているうちにどんどんデザインが変わってしまうおそれがあるからです。また外注加工せざるを得ない部品は図面化が必須ですので、いずれにしても描く必要がありました。図面は部位ごとに親‐子‐孫の番号で区分して採番しますが、趣味の世界なので「まっ、いいか!」で済ましている部分も中にはあります。一方で強度計算や駆動系の出力計算も可能な限り図面番号を付して保存してあります。それは本職ですから。

ここには優雅な時の流れが


 これだけの仕事をして電車を完成させるのにどれほどの時間がかかるのか想像がつきません。ただ春から秋の半年ですべてが終わるとはとても思えません。隠居の身なので時間は自由に使えるのですが、健康維持のための体力作り(ジョギング)、趣味のサークル(テニス、魚釣り)、家や庭のDIY、と電車以外にもすること満載です。宮仕えと違って、8時に始めて昼休み1時間、おやつは3時、などという縛りがないのでついダラダラとしてしまい、気が付いたら一日が終わっているという日常にどっぷり浸かっていました。線路が出来て、無蓋車で遊べるようになったので、次の目標はとりあえず電車の完成ということになります。この分では丸3年はかかりそうだと見積りましたが、果たしてどうでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿