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| マツダK360 Wikipediaより |
乗用車も今ではオートマチックが主流になり、マニュアルミッション車を探すことが難しい世の中になってきました。私が運転免許を取得した頃はオートマチック車の価格は割高でしかもパワーがない、故障したら修理に時間と費用が嵩むなどで人気がありませんでした。鉄道の気動車も同じ経過をたどって機械式から液体式、そしてハイブリッド式へと変遷しました。
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| チャップリンのひとコマ 出所不明 |
| 1933年製造の元中国鉄道買収気動車 島原鉄道キハ253 1972年自身撮影 |
そんな時代のガソリンエンジンは我々がイメージする現代のそれと何が違うのかについて思いつくままに(思い出しながら)説明したいと思います。今どきの乗用車は乗り込んでスタートボタンを押すと(あるいはキーを回してエンジンをかけると)スタンバイ状態になり、ブレーキを踏んでシフトレバーをDモードに入れるとすぐに走り出します。自動車の始業点検は取扱説明書や法令に明記されていますが、実行している人なんかめったに見ませんよね。それに比べると昔のエンジンは動かす前に必ずやらないといけない手順があり、それを省くと始動すらままならないという事情がありました。
まず運転手は床下周りに油漏れや部品の緩み、脱落などの損傷がないか、燃料や冷却水が適量であるかを点検しなければなりません。まっ、これは現代の鉄道でも同じで、車両基地の検査員とのダブルチェックです。エンジンを始動する前に、キャブレター近くの手動ポンプで燃料管の空気抜きを行います。始動に際してキャブレターに濃い混合気を送って着火しやすくするため、チョーク弁を閉じる操作をします。チョーク弁はキャブレターにあるのですが、運転席近くからワイヤーで操作できるようになっている場合もあります。
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| 運転席の計器、スイッチ、レバー類の配置例 ケーブル類が滅失しているため推測にて記入 _______旧佐久鉄道キホハニ50自身撮影 |
エンジンが無事着火して起動に成功したらチョーク弁を戻し、スロットルレバーのストッパーまたはアイドルガバナーで、アイドル回転数を調整します。無負荷(変速レバー中立)の状態でスロットルレバーを軽く動かしてエンジン回転数の反応を確認します。タコメーター(回転数計)など付いていませんから全て耳や手指の感覚が頼りです。
ここまでエンジン起動が終わると暖機のためにしばらく無負荷運転をします、元空気圧、潤滑油圧などを確認し、手歯止め、手動制動ハンドルを解除して初めて、運転が開始できるスタンバイ状態になります。車庫を出て客扱い運用に入る場合はこの他に室内灯や前照灯、尾灯、暖房の投入などがあることは言うまでもありません。
注記 始動モーターによってエンジンが回転させられる状態を「始動」、始動によって燃料が着火して自立運転が始まった状態を「起動」と記述しています。
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| 1956年式トヨペットクラウン Wikipediaより |
2023/4/6投稿の「SLの話」で書いたのと同じように、今では当たり前のようにコンピューターが行っているエンジンの複雑な調整やシーケンスの全てを昔は運転手の勘と経験でこなしていたのでした。後編は、現代ではあまり知られていない古典的な機械式変速機の取り扱いについて説明します。




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