2022/12/23

待避線(余談雑談) 15インチゲージをすすめる関西人の話

  15インチゲージに踏み出すのにお金の問題が壁になっていると考えている人がいるのではないかと書きました(20219月、20222)。その中で、とりあえず10万円ほどあれば線路とトロッコが入手出来て自家用鉄道を始められること、そして工夫とDIYで楽しめば決して贅沢な趣味ではないことを強調しました。私は、2014年から9年の間に鹿部電鉄の建設にどれだけのお金を使ったかを問われて「軽トラック1台分くらい」と公言しています。まぁざっくり言って100万円です。大体の内訳は線路40万円、無蓋車10万円、電車20万円、建造物等10万円、補修費その他20万円、そのほとんどが材料費で一部外注加工費を含みます。ただしこの中には無償で譲り受けたモーターやバッテリー、電動工具やスパナなどの手工具は含んでいません。庭園鉄道以外の趣味としてカヌーを作り、小屋を建てたり、家内に頼まれて花壇・菜園の造成をしたり、立木の伐採などもしますので、道具や塗料、ネジなどの補材の使用目的は多岐に亘り、その何割かは鉄道の建設・維持に使用していると言えるかもしれません。

 過日設立10周年を迎えた空知鉄道さんは鹿部電鉄より少し規模が大きいようですが、テレビのインタビューでこれまでにつぎ込んできた費用について「まあまあなクルマが新車で1台買えるくらい」と答えていらっしゃいました。勝手な想像ですが3倍から4倍になりますか。電車の駆動がVVVF方式であったり、駅や建造物、標識、通信保安設備などが近代的で実物にこだわった作りになっていたり、とお金がかかっている様子が窺がえます。どんな基準で算定されたかわからないので詮索は止めておきます。

 鹿部電鉄建設にかけたお金がとんでもないというほど高額ではないのは、私が元々関西人であるからと言うことがあります。レールや車輪の購入費用に偽りはありませんが、上に書いたようにうやむやの内に出て行く雑出費を勘定に入れず、あえて純粋な値段を書いたというのも一つの理由です。この投稿が待避線(余談雑談)なので、大阪人を典型として関西人のステレオタイプ的な特徴を面白おかしく紹介したいと思います。テレビならここで「フンワカフンワ♪フンワカフンワ♪」と吉本新喜劇のテーマソングが流れ、道頓堀のネオンが画面に映ります。中年の大阪のオバちゃんが現れて「あんなぁ、この(ブランド)バッグなんぼで買うたと思う?たった1万円やでぇ!」と格安で手に入れたことを自慢します。東京のマダムにしたらブランドアイテムは高いものを買ってこそお値打ちなはずで、仮に安く手に入れることができたらこっそり微笑むことはあっても、それを他人に自慢するなんてありえない話です。実は、オバちゃんはバッグの自慢をしているのではなく、リーズナブルな価格の店、品物の目利き、店員との値段交渉についての知識や技を誇っているのです。大阪商人のケチの本質であるコスパが高いものにこだわる考えにもとづいています。

 だから無蓋車10万円、電車20万円は誰かが何も考えずに作ってその金額で済むという話ではありません。前にも書いた通り、車輪の加工については知り合いの鉄工所や通販サイトの見積り額を比較して、一番安くて信頼のおけるところに発注した結果です。時間だけは持て余すほど自由になるけど収入は年金だけ、しかもお小遣いはヘソクリの取り崩しという境遇の中で導かれた関西人の趣味満喫術の所産です。これが、お金をどんどん使わないと納税額が増えるから値段なんかどうでもいい、という人なら話は別です。そういう場合はオーダーメイドの完成車両を購入するのが手っ取り早いと思います。

 年末ジャンボ宝くじが発売されると聞いて、10億円当たったら何に使おうかと考えました。トイレが気になるから海外旅行は敬遠しよう。どこかに豪邸を建てると引っ越しが大変だ。美味しいものをいっぱい食べると血圧や中性脂肪その他の健康指標に悪影響が出ないか。なかなか有効なお金の使い道が見つけられず、悩んだ挙句の果てに4両編成の20m級電車を庭に走らせようと思いつきました。やっぱり昭和の電車がいいから阪急の2000系、伊豆急の100系も好きだ、クモハ43の関西急行色、例によって延々と妄想が続きます。そして10億円あるから専門業者に発注することになる、金額的には全然問題にならない、細かいところまで凝った電車にすることも可能だろう、と。ところが、そこで我に返りました。10億円を使ってその電車の所有者になることはできても、もはや自分は製作者ではないわけで、そんなものが我が家の庭にあってもデ1を完成させて自分で運転した時の喜びには遠く及ばないことは歴然だ。と思って宝くじを買うのは止めました。


 阪急電鉄の創業者小林一三の名言を紹介します。

「金がないから何もできないという人間は、金があっても何もできない人間である。」

土地がないから、金がないから15インチゲージはできないという人間は、永遠に15インチゲージができない人間である。というのは言い過ぎでしょうか?

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