2022/08/16

待避線(余談雑談) 鉄道工学を学んだ頃

当時の最新車両が表紙を飾っています
 本棚を整理していたらチョッと懐かしい書籍が出てきました。「入門鉄道車両」というB6版サイズ(128×182mm)で、大学の専門課程で鉄道工学の教科書として購入したものです。工学部の授業や勉強ではいわゆる理科の内容を深める一方、さらに実際的なモノ作りについて学びました。つまり物理、化学、数学の難しい(さっぱり解らない)理屈や数式をノートに書き写し、製図や加工、機械や道具の使い方について実習や講義を受けました。子供の頃から機械いじりや模型作りが好きだったので、「機械要素」という授業でウォームギヤやユニバーサルジョイントといった聞き慣れた用語が出て来ると、一歩先んじているような気がして嬉しかったことを覚えています。

ページをめくると

 「自動車工学」「航空工学」「鉄道工学」という講義が選択科目にあったので迷わずカリキュラムに入れ、週に一回最前列で受講しました。鉄道工学の講師は国鉄鷹取工場の技師の方で最後の授業は工場見学でした。その授業で一括購入したのが「入門鉄道車両 石井幸孝著」です。講義は一般学生が対象なので「鉄道車両には蒸気機関車、電車、ディーゼルカー等があって、、、」から始まって、電車の抵抗制御やディーゼルカーのトルクコンバーター、線路のカントとスラック、そして新幹線とリニアモーターカーの話などでした。私にとっては全部常識的に知っていることばかりで新鮮な知識を得るような機会ではありませんでしたが、やっぱり嬉しい時間でした。そんな内容なので授業で教科書はほとんど参照されることはなく、私も記述内容を細かく見ていませんでした。今あらためて読み直すと実にわかりやすく解説されていて、ブログで説明した下手な走行特性と出力特性の関係などはこの教科書を読んでから書けばよかったと後悔しきりです。その他にも知らなかったことが詳しく書いてあり、天狗になっていた自分が恥ずかしく思えてきました。

 この本には当時の最新技術であるサイリスタ制御の記述はありますが、当然ながらVVVFインバーターについては全く書かれていません。まだパソコンが一般的ではなかった時代で、計算尺や手回し式卓上計算機に代わって電子式卓上計算機(電卓)が初めて発売された頃のお話です。卒業研究といっても実質一ヶ月ほどの実験で、残りの10ヶ月近くはデータ整理とグラフ作成、論文の清書や発表用のスライド作りに費やしていました。もしエクセルやワードを使うことができたなら、たった数日で格段に見栄えのする成果があげられたと思います。そう考えると隔世の感がありますね。計算尺や手回し式計算機(通称タイガー計算機)については今では死語になっていますが、ネット検索すると画像や原理、使用方法などを詳しく知ることができます。 

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