2022/06/19

妄想か現実か

 この投稿は、2021.12.29「妄想トレイン前編」、2022.1.19「妄想トレイン後編」、2022.1.22「妄想トレイン続編」、2022.4.6「妄想その後」に続く後日談です。

鹿部電鉄へキハ40000導入の妄想

 OB会参加のために内地(本州)へ渡った際に神戸の実家以外にも色んな所へ寄り道をしました。大宮の鉄道博物館は入場制限をしているので事前に入場券を購入しておかなければならないとは聞いていましたが、コンビニに置いてあるイベントチケット販売機(予約機)で手続きをするなんてつゆぞ知りませんでした。タッチ画面を悪戦苦闘しながら操作し続けると最後に機械から申し込み券が出てきて、料金を添えて渡すと入場券が購入できました。

 さて鉄道博物館のターゲットはキハ41000。

何はともあれここに急行
 概略寸法はメーカー図面から読み取れるものの、軽量化設計された窓枠の厚さや台車の鋼材寸法などは実測に頼らざるを得ないと考え、アクセスの利便性から大宮に白羽の矢が立ったというわけです。予めメジャー、物差し、ノギスと寸法測定箇所の一覧表を準備して手際よく作業を始めました。
寸法測定と観察の重点箇所
 側板(窓柱)から窓枠までの凹み寸法、上下窓枠の段差や窓枠の幅、同様に扉の段差などは車体材料の選定にどうしても必要なデータです。ウィンドウシル・ヘッダーの幅と厚さ、扉部のRやリベットのサイズ、ピッチなども測定しなければなりません。床下の鋼帯組立菱枠台車の部材寸法は写真から大体の見当をつけていましたが、鋼材の幅や厚さは実測でどうしても確認したいところです。車体上部の高い部分や床下に手を伸ばし、かがみ込んで車体の裏側の寸法を測るのは硬くなった老体には堪え難い苦痛であり、次々とやって来る親子連れから送られる奇異のまなざしはそれ以上に厳しいものがあります。車体の下にも潜り込んで手の届く限り観察したいところですが、立ち入り禁止の柵があるので、上半身だけ乗り出して車体鋼板の厚さをノギスで測ったりもしました。なにぶん古い車両なので塗料が何層にも固まっており、測る場所によって数値が定まらず、塗料の薄い部分や剥がれている箇所を探し出し、JIS規格と照合して鋼板の厚さを推定しました。
昭和の香り漂う車内
 2時間近くかけて心ゆくまで観察し、隣にあったクモハ40も比較参考のために測定しましたが、両車の測定結果からはキハの軽量化に向けた当時の設計陣による努力の跡が偲ばれました。
         これまた昭和の代表選手        彫りの深さ車体の大きさ歴然

 キハ40000の鹿部電鉄への導入は妄想であったはずですが、鉄道博物館を訪れたことでかなりその実現性が高まりました。今年はエンドレスを完成させるための線路の延長を最優先課題としていたのに、詳細寸法が明らかになったことで車体製作の構想が具体化してきました。ホームセンターでヒノキ製材を見つけたこともそれに拍車をかけました。各種寸法に仕上げられた角材や板材があり、複雑な2段窓を忠実に再現できる目途が立ち、ヒノキ風呂に使用されているように耐水性も期待できることから、車体材料に適していると思えてきました。加えて簡易的に独立回転車輪を実現する方法も思い付き、鋼帯組立菱枠台車を早く試作したいと強く思うようになりました。

 キハ増備の火に油を注いだのがこの本の発掘です。1999年初版発行RMライブラリーの1号と2号が「キハ41000とその一族」というタイトルで、幼い頃に加古川線での乗車体験を持つ私は迷わずにその2冊を購入していたのでした。神戸の実家で本箱から探し出しあらためてページをめくると、各種の写真に加えて詳細な構造図などが掲載されていることを思い出しました。屋根のR寸法などが書き込まれているのを見ると、鉄道博物館での計測結果と併せて、もう鹿部の庭に1/3スケールで再現するしかないと思い詰めるまでになりました。

 線路延長か車両増備か、いずれかを優先して他方を当面犠牲にする、あるいは両方並行して進める、悩ましい問題が目の前に出現してしまいました。過日線路の砂利清掃の際に一部の枕木が腐朽しているのが発覚し、今後は後ろ向きのメンテナンス作業が増えそうな予感もします。あれもこれもと欲張りすぎると結局みんな中途半端に終わってしまうことは経験済みです。単なる作業の選択だけではなく、どちらに転んでもレールや材料の仕入れに影響があるので真剣に計画を立て直さなければなりません。

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