2022/05/20

待避線(余談雑談) 趣味って何だろう?

  「趣味とは何ぞや?」難しい問いかけですね。「小さい頃から電車が好きなだけで、理屈なんかあるかい。」とずーっと思っていました。でもやっぱり歳取ると理屈っぽくなるわけです。最近なんで鉄道模型を作っていたかを考える機会がありました。

 人間って理性の仮面をかぶっていますが、実は本能に操られているンです。それを突き動かすのは征服欲とか独占欲です。あからさまな民族支配とか略奪ではなく、人道を遵奉しながら代替行動を取ることでそれは満たされます。昔の若者は馬を馴らして野山を駆け巡っていたのが、現代では車を意のままに動かして征服欲を満たします。鉄ッチャンは気に入った車両の模型を作ったり買ったり、それにディテールを付けたりして我が物にしますが、これらは合法的独占欲の発現に他なりません。他人と違う物を手に入れたり、違った方法を使ったりすることでより強い欲望が満たされます。撮り鉄然り、乗り鉄また然り。ある時期、私は山の中で土に埋もれた森林鉄道のレールを掘り起こして金鋸で切出し、それを自分の手で握りしめた時無上の喜びを感じました。これは「掘り鉄」と言うのでしょうか、それとも「切り鉄」?「○○鉄」と一括りにできないような千差万別のフィールドがありますが、気付かぬうちに本能に駆られて一人愉悦に浸るのが趣味ではないでしょうか。

 受け売りで恐縮ですが、仏教の解説書にこんなことが書かれていました。人間の欲には二種類あって、一つは欲求もう一つは欲望である。食欲や睡眠欲が生命を維持するために必要な欲求であるのに対して、快楽欲や金銭欲は生きていくのに必須ではない欲望である。長い人生をかけて収集した鉄道コレクションを命より大切だと言う人がいるかもしれませんが、鉄道に限らず趣味にうつつを抜かすのは生きることに余裕のある証しではないかと思います。無人島に漂着した時、砂浜に椰子の実とブレーキハンドルが転がっていたら、あなたはどちらを先に手に取るでしょう。

初夏の鹿部電鉄

0 件のコメント:

コメントを投稿