2022/05/16

転轍機の試験

  転轍機と分岐器が繋がってとりあえずはうまく動作するようになりましたが、前回の投稿に挿入した動画ではなんとなくぎこちない動きをしているように見えました。トングレールがスライドするプレートの表面が汚れていたので清掃してから新しいグリスを塗布し、2本のロッドの長さを調整することで定位側と反位側で伸縮筒の動きが均等になりました。

 こうやって試行錯誤の末に新しいモノが出来上がっていきます。世の中で言えば決して新しいどころか100年以上もの昔からあった分岐器ですが、鹿部電鉄にとっては新規開発品です。真っ当な使い方をして期待通りに動作するだけでは開発したとは言えず、想定外の事態に遭遇しても損傷を被ったり危険な状態に陥ったりしないことを検証しておく必要があると思います。と言ってもこれを販売するわけではありませんので、耐久試験や取扱説明書の作成まではやりません。ついうっかりやってしまいそうな「想定外の事態」に備えて安全性の確認だけはしておこうという話です。

 つまり、転轍機を切り替えて閉じた側の線路から車両が逆行した場合でも絶対に破損や脱線が起こらないことを確かめます。理屈の上では伸縮筒が撓んで鎖錠状態の転轍機に無理な力が加わらないようにしてあります。

 もう一つの試験では不完全な切替え操作、つまりレバーを中間の位置で止めてトングレールが基本レールに密着していない状態で車両が進入した場合、どの程度不完全な状態なら脱線に至るのかを確かめます。完璧に密着していなくてもフランジのテーパーのおかげで簡単に脱線しないことは解っていましたが、実は中途半端な状態で進入すると間違いなく脱線するだろうと想像していました。試験結果は動画をご覧ください。

 2本のトングレールの幅と両輪のフランジ間隔がほぼ同じであることが幸いして、両側の車輪は必ず揃ってトングレールのいずれかの側へ転がり、脱線することはありませんでした。結果的に解ったことですが、こういう異常な状況下でもトングレールの幅が狭過ぎず広過ぎないことで脱線を免れる要因が備わっていました。動画の後半ではフランジがトングレール先端に乗り上げる様子が映っています。速いスピードでこういう衝突が起こるとおそらくなんらかの問題が発生することは想像に難くありません。転轍機を操作した時は確実に切り替わっていること、また日常点検で転轍機と分岐器が正常に連動していることを確認しておく重要性をあらためて感じました。

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