車体の妄想はどんどん膨らんでいきますが、事の発端が急曲線通過時の走行抵抗を低減しようということですから足回りを真剣に考えなければなりません。独立車輪付きの短軸距ボギーをどのように実現するか、さらに駆動軸の左右独立回転をどういう手法で解決するかが命題です。
独立車輪のバリエーション |
軸受は使用目的に応じて多くの種類があり、ここでは便宜的にそれらしく図示してありますが、形式によって取り付け方や寸法的制約があるので条件に適した軸受の選定と車輪側の寸法形状を検討する必要があります。すでに鹿部電鉄の無蓋車や電車の軸受として使用しているピローブロックは、深溝玉軸受と呼ばれるボールベアリングが取り付け穴付きの鋳物のハウジングに納められていてDIYで簡便に使用できる優れものです。一方玉軸受やコロ軸受(ローラーベアリング)をそのまま使用するには、取り付け部の寸法公差や固定(抜け止め)方法の決定などチョッとした機械設計の知識が必要になります。実物の鉄道車両には一般的に円錐コロ軸受が使用されますが、車両重量が二ケタくらい軽い上に速度も低い庭園鉄道ではもっとも汎用的な単列深溝玉軸受で充分に負荷を受けることができます。回転数や使用時間などタカが知れているので限界荷重や寿命の計算など難しいことは考える必要なく、退役技術者の頭の体操にはちょうどいい題材です。
既存の無蓋車、電車に合わせて車輪径はφ230、車軸径をφ35とします。ボス径はφ75あるので軸受を取り付けるのに充分な加工しろが確保できます。屋外使用、メンテフリーが必須条件になるのでグリス封入型を選定し、できるだけ工作機械による加工を少なくして市販部品を使うことでコストを抑えるように留意した構造を図に示します。
さて、付随台車の独立車輪はこれで問題解決ですが、動力台車の差動滑り対策を立てねばなりません。考え方としては次の選択肢があります。
①自動車のようなデファレンシャルギア使用
②Bタイプ独立車輪を使用して1軸1輪駆動
③同上で2モーター使用2軸2輪駆動
④同上で1モーター使用2軸2輪駆動
次に台車の妄想に移ります。2軸電車の単台車の軸受にはピローブロックを使用しました。実はピローブロック(軸受ユニット)にも多くの種類があり、目的や取付場所によってハウジングの材質や形状、サイズが選択できるようになっています。
ピローブロック(軸受ユニット)の種類 旭精工H.P.より |
注目はテークアップ型で、ハウジングの両側が溝になっていてペデスタル式(軸箱守式)台車を再現するのに打って付けなのです。ペデスタル式というのは比較的古いタイプの台車で用いられていた軸箱保持の構造で、軸受両側のガイドで上下方向のみに動きを与えてバネで振動を吸収するようになっているものです。以前からテークアップ型ピローブロックを使ってこの種の台車を作りたいと思っていたので渡りに船です。余分な部分を切り落として軸バネと組合せ、台車枠にはめ込むことで意外と簡単にそれらしく仕上げられそうです。札幌市D1040のTS-115台車もキハ40000の菱枠型TR27(TR28)台車もペデスタル式なので最終判断で迷いそうです。
TS-115ペデスタル式台車 ペデスタル式菱枠型台車の妄想 |
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