分岐器各部の名称 |
先端部断面形状 |
(1)トングレール
先端部は外側(基本レールに接する側)をまず平面に削り、内側の頭部だけを削って腹部と底部を残すことでL字型断面にします。細かいことを言うと、外側はその後基本レールの頭部に接する部分を凹ませるように削り取ります。実物の鉄道のトングレール先端は刃物のように薄く鋭く尖っています。高速で通過する時に少しでも衝撃が発生しないように研ぎ澄ましてあるのでしょう。当然熱処理をして曲がったり欠けたりしないような調質がなされているはずです。速度や重量が桁違いに小さい庭園鉄道では熱処理はおろか、先端部の一番薄い部分でも3mmの厚さを残すことで強度を保つようにします。この程度の(横方向)段差では脱線しないようにフランジ形状が工夫されているので心配は無用です(2021/5/22投稿の「鉄道用車輪の話」参照)。
トングレールの加工 |
片方のトングレール一本の加工に10時間近く(延べ日数では数日)を費やしてしまいました。もちろんこの中には素材の切り出しやサビ落とし、レールベンダーの調整なども含んでいるものの、もう一本の加工着手に少し戸惑ってしまいました。「分岐器を自分で作るなら2ヶ月はかかる。」と言われていたので、こんなことで気後れしていては先が続かないと自分に発破をかけて曲線側の二本目もがんばりました。おかげで能率も上がって幾分短い時間で加工は終わりましたが、金鋸やヤスリがけ作業の連続は肩からわき腹、腰に負担があるようで、しばらく張り薬のお世話になりました。それにしても削り終えたトングレールは、刀匠が研いだ日本刀のような鈍い輝きを放ち、魂が宿ったような妖しい空気を漂わせています。せっかくなのでクリアのラッカーを塗布して防錆処理をしました。
苦労の末削り上がったトングレール |
二本のレールの加工にケリがついたのはそろそろ裏の駒ケ岳が白くなる頃、里でも冬支度をしなければならなくなりました。やり始めて2ヶ月は経ったので本当ならすでに完成しているはずですが、そんなわけで分岐器作りは2年がかりの大仕事になります。
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