2021/10/11

レールベンダーの製作

 レールベンダーは基本的には両側のフックの部分とその中央を押すラムからなっています。機能的には市販の油圧式パイプベンダーと同じなのでレールに合うように改造する方法もあるようですが、パワーや改造の程度に不安がありました。厚鋼板を6kgレールの形状に合わせて加工してフックにすることにし、このフックとラムをどう組み合わせるかを色々検討しました。

 上図の①は原形のネジ式ラムを油圧ジャッキに変えたもので、当初近所の鉄工所に放置されていたものが入手出来たらこういう形にしようと考えていました。これは鍛造品で、専用の加工機がないと真似て作ることはできません。②はその代替案、フック部を厚鋼板として木製の底部を挟む構造ですが、100mm角材が折れることはないもののネジ部で割れが発生する可能性があります。そこで鋼板を曲げて材木を抱える案が③です。強度的には②より優れていますが、ここまでするなら鋼板をコの字型に曲げる方が部品点数も減ってコストは下がるはず、と考え、最終的には一体型にしました。同じ理由で3枚の鋼板を溶接組立にする案は除外しました。レールの剛性に負けてベンダーが変形・破損するようなことがないように要所の強度計算をし、必要な肉厚確保と補強を追加することで頑丈な構造にします。当然ながらレールを曲げるのにどれくらいの力が必要で、ジャッキの圧力を抜いたらどの程度のスプリングバックがあって、最終目標の曲率半径を得るのにどこまで変形させる必要があるのかなどを計算しました。その詳細な計算方法は材料力学と塑性学の教科書に出てくる公式や解説に書いてありますが、ここで紹介したところで面白くもなんともないので省略します。

 両フックのスパンを500mmとしてレールが永久変形を始める時のジャッキの荷重は590kgという計算結果だったので、ホームセンターで4tの油圧ジャッキを購入しました。ジャッキの寸法に合わせて図面を描き、いつもお世話になっている函館の柴田工作所を訪ね、加工が可能か確認しました。当初板厚は12mmとして強度計算していましたが、16mmでも曲げ加工ができるとのことだったので少しでも頑丈にと思い変更しました。加工が終わったフックにジャッキと補強材を取り付け、試しに端材のレールをセットして加圧してみると見事くの字に曲がりました。もちろん曲がったのはレールの方で、ベンダーの変形は全くありませんでした。ジャッキハンドルの可動範囲が少し狭いので改良の余地がありますが、かくの如く頑丈な割に近所の鉄工所で見失ったΨ型の鉄の塊より遥かに軽量で、一人で持ち運ぶことができます。結果的にはこの方が良かったような気がします。

完成したレールベンダー



0 件のコメント:

コメントを投稿