時々、本文の話題から少し外れて余計なお話しを書きます。鉄道に因んで「待避線」というタイトルにします。今回は犬釘トリヴィアです。
①なぜ犬釘というかについては、レールを固定するために頭部が偏心していてそれが犬の首に似ているから、というのが通説です。しかしどう見ても似ていませんよね。じつは犬釘が発明された頃のそれは犬そっくりなのです。
初期の犬釘 (Wikipediaより) |
②犬釘の先端は尖っています。ただし、鉛筆みたいに丸く削ってあるわけではありません。頭部の偏心方向に合わせて先端両面がテーパー状に尖らせてあります。これは釘を打ち込んだ時に枕木が割れないように、つまり枕木の長手方向にクサビの力が加わるように考えられているのです。このテーパーが頭部の偏心に対して直角方向に尖らせてあるものがあります。どんな用途に使われるのか推測してみてください(答えは最後)。
特殊な犬釘(左)と普通の犬釘(右) |
③枕木の割れ防止の工夫が他にもあります。犬釘は枕木中心の一直線上に打たず、上から見て「ハの字」状の位置に、両側のレールを挟んで少しずらした位置に打ち込みます。同じ木目上の近い位置に2本の釘を打つと割れを引き起こすおそれがあるからです。
犬釘の位置はハの字 |
④犬釘は熱間形鍛造という製造方法によって成形されます。鋼材(棒鋼)を約1000℃に加熱(赤熱)し、頭部とテーパー部が形成されるように金型で衝撃加圧(プレス)して作られます。最後にグラインダーなどを使ってバリを除去し尖端を鋭く仕上げます。よく見ると一本一本に手作り感があふれています。
犬釘の製造 (帝国製鋲動画より) |
②の答え:チョッとした溝などを越えるために枕木を橋桁代わりに縦方向(進行方向)に渡したり、はしご状に枕木を置いてレールを固定する場合にこの犬釘を使います。
縦枕木に打たれた犬釘 (保線ウィキより) |
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