国鉄から私鉄に譲渡されたキハ41000は67両、キハ40000は10両 (RMライブラリーキハ41000とその一族による)とのこと。製造数がそれぞれ190両と30両であったので、同じような比率で約1/3が私鉄に渡ったことになるようです。なおキハ40000に関しては半数の15両が外地へ供出された他、戦災やキサハ化などにより国鉄ではほぼ使われていなかった模様です。一方私鉄にはコピー設計した新造車両があって、微妙に国鉄車と違っているのが興味を惹きます。
1951年(昭和26年)宇都宮車両(→富士重工→SUBARU)で製造された常磐炭鉱キハ21はキハ40000に準じた寸法ですが、車体上部は張り上げ屋根になっていて国鉄車より幾分モダンなスタイルになっています。原型は低いプラットフォームに合わせて乗降口が2段になっており、外観は路面電車のようにステップ部が大きく垂れ下がっていたようです。その後岡山臨港鉄道に移籍した際にステップは一般的な寸法に変更されています。
キハ41000とキハ40000の製造当初は屋根のキャンバスを側板に被せて鋲で止めてありました。言ってみれば張り下げ屋根です。これでは雨が落ちてくるので扉の上だけ水切りを設けて乗降時に濡れにくくしてあります。私の嗜好を言わせてもらうなら、この樋なし屋根がもっともスマートに見えて大好きです。鹿部電鉄ではこのタイプにすべく屋根の設計をしています。
一部の私鉄では車体全周に張り下げたキャンバスの継目を隠すかのように水切りを巻いた車両がありました。一見樋のように見えますが、溝状になっていないので雨を流す機能はありません。
コンパクトな鋼製の雨樋を巻いた車両もあります。なぜかキハ42000には新製時もしくはその後早い時期から鋼製雨樋がついており、この形式については鉄道会社や時代に関係なく他の構造に改造した例をほとんど見たことがありません。ただし鹿児島交通や夕張鉄道の自社発注車は正面のみ張り上げで樋がありません。水島臨海鉄道のキハ310(元中国鉄道買収気動車)はキハ41000タイプですが、雨樋がスリムな鋼製であるだけで他の車両と比べてとてもスマートに見えました。もちろん一般の利用者はそんなことには全く気を留めません。
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| 鋼製雨樋付き九州鉄道記念館のキハ07(42000)と正面張り上げの鹿児島交通キハ100 鉄研富田さん撮影 |
キハ41000タイプで最も多いのが木製雨樋です。前の投稿で北丹鉄道の「何の変哲もない」キハ04の写真をご覧ください。金属物資が不足した戦時中に限って木材を使用したのならわからなくもありませんが、戦後にせっかくノーリベットで登場したキハ41600(後のキハ06)が不細工で太いハチマキを巻いて3ヶ月の間に50両も量産されたのは不思議でなりません。晩年、休車や廃車で保守が行き届かないまま放置された時に真っ先に朽ちるのは木部であり、車庫の外れで痛ましい姿を晒しながら最期を待っている老体をやるせない気持ちで見送ったのも一度や二度ではありません。
旧型気動車の張り上げ屋根と雨樋の余談雑談でした。余程の好き者でないと面白くもなんともない内容です、はいわかっています。



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