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アルペンルートのトロリーバス 2008年自身撮影 |
この原稿を書いている2024年11月30日をもって我が国の営業線からトロリーポールがなくなるとのこと。あれっ?と思われる方がいるかも知れません。京福電鉄叡山線(1978年)がいわゆる鉄道での最後で、今般は立山黒部アルペンルートのトロリーバスの話になります。明治村のN電は依然として営業中(?)なので、厳密な意味で全くなくなってしまったわけではありません。
私は、京福電車はもちろん京津線や羽後交通、海外の路面電車やトロリーバスに乗ったことがあり、目の前でポールが離線して大きな音と光を発するとともにスパンワイヤーが切れんばかりに揺れる光景を見て驚いたことを覚えています。そんな魅力たっぷりのポール電車は我が家の庭にも走っていて、デ1には前後に2本のポールが装備されて先端には溝付きホイールが取り付けられています。
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京福電鉄モボ101 デ1のポール 1972年頃自身撮影___________ |
鹿部でデ1を作ろうと考えた時には「架線集電が出来たらいいなぁ」と思っていました。15インチゲージなら寸法的に充分可能であるし先例があったので、実際には解決しなければならない問題はあるかもしれないが努力次第でなんとかなるだろうと考えていました。しかし、知り合いから譲ってもらった中古モーターを使用するとDC100Vを供給しなければならないことがわかり、安全性の面から断念せざるを得なくなりました。だから溝付きホイールはプラスティック製戸車で済ませています。 電圧の問題は別にして、実際にポール集電するには線路の両脇に架線柱を建て、梁を渡して碍子を取り付け、銅製のトロリ線を張ることになります。架線柱は足場用丸太、梁はLアングル(山形鋼)、碍子は木製を白塗装でごまかす、として最大の課題はトロリ線の形状と材料です。実物のトロリ線は直径10~16mmの硬質銅線で、吊るすための金具が線の両側から挟み込んで取付けられるようにだるま型の断面になっています。15インチゲージ用の架線が市販されているわけではないので、これに代わる吊架方式を考えたうえで材料を探さなければなりません。
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JIS E2101 トロリ線の断面寸法 |
トロリ線を1/3に縮小するとφ3~5とかなり細くなってしまいます。丸断面ではなく矩形にすることで剛性を稼いでスパン間隔を大きくするとともに吊架方法(金具)を簡便にすることができそうです。地下鉄の剛体架線みたいになると田舎電車らしさが失われるので、実用性と見た目のバランスをどこで妥協するかが考えどころです。現在使用しているバッテリーを外し、何らかの方法による低電圧給電で電車を走らせるとなると全線に亘って架線を張ることになりますが、そんな大層なことはいくら妄想であっても余命わずかな老人にとってあまりにも非現実的でしょう。事の起こりが「日本国内からポール集電がなくなる」ことで、せめて「鹿部電鉄でポール集電の光景を残したい」というのであれば、表の通りから見える直線部だけを見た目と(動画)撮影に耐える程度に「なんちゃって電化」するのもそれなりの意味があるのではないかと思いました。導電性や耐久性、漏電や感電に対する安全対策を考えなくてよいなら気楽な話です。ただし、離線時の対策やポールを上げての逆行を絶対に防止するような具体的な対策、例えば警報やインターロックを装備するくらいのことは考えねばならないでしょう。 |
大沼電鉄の「電車線路及び軌道構造図」 国立公文書館保存資料 |
これから冬に向かって暖かい部屋でキハの仕上げについて構想を練ったり図面を描いたり、その延長で電化計画の妄想を膨らませるのはいいかもしれません。
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