2024/08/12

妻板ユニットの製作 第2編

  隅柱は図に示すように少し複雑な形状です。4枚の妻板・腰板補強板がはめ込まれる溝が成形されており、本箱の棚板のような構造です。ただし本格的なほぞ組みであれば打ち込んだだけで直立するはずですが、溝は位置決め程度の深さしか取っていませんので、箱状で自立するように仮組みする必要があります。直角を確認しながら余っていた節だらけの板を裏側に当てがって隅柱と補強板を木ネジで本箱状に仮固定します。この段階は接着剤を使わず、これに貼り付ける幕板や腰板の寸法確認と加工を行うための準備作業です。

車体隅柱の図面(上)
加工中の様子(下左)と完成品(下右)
雇いの裏板を取り付けて組上げた本箱状態の妻板枠

4枚の幕板をピタリと取付け
 補強板が固定されたらその上に4枚の幕板と11枚の腰板を貼り付けます。補強板の加工時に残されたケガキ線と幕板および腰板が正確に合致するよう1枚ずつ原物合わせで幅を確定します。この時、隣り合う板の面がスキマなく密着するように側面の角度もカンナで修正し、形状が決まったら木ネジで補強板に取り付けます。デ1の腰板は凹凸をはめこんで繋いでいく板継ぎ構造だったのでスキマはあまり気にしなくてよかったのですが、キハ40000は木製車体の表面を鋼板に見せる必要があるので部材の継目のスキマが残るのは禁物です。最終的には接着してからパテを塗ってツルツルに仕上げる計画ですが。


 幕板、腰板の取付けが終わったら、R900の曲面を手のひらで感触を確かめながらカンナとサンダーで仕上げていきます。カヌーの曲面を成形した時の手法の応用です。これも柔らかいヒノキ材ならではのテクニックと言えます。ただし素材が柾目ではないので場所によってはクセの強い板目(不規則な年輪模様)が現れることがあり、カンナをかけたときに逆目でささくれ立った面も出てきます。こういう部分はサンダーをかけても凹凸が消えないことがありますが、最後はパテが隠してくれるので、あまり気にせずそこそこにしておきます。

 幕板と腰板の寸法合わせと仕上げが終わったら一旦木ネジを緩めて部品を取り外し、一ヶ所ずつ木工ボンドを塗布してから再度ネジで固定し、位置ズレや歪みがないことを確かめたうえで接着剤が固まるのを待ちます。同じ要領で11枚の腰板を取り付け、翌日以降に接着剤が乾燥してから木ネジは全部抜き取ります。ウィンドウシル・ヘッダーで隠れないネジ穴は後ほどパテで埋めます。

 淡々と組立て手順を書いていますが、最初からこの筋書き通りに作業できたわけではなく、実は雇いの裏板を木ネジで固定して箱状に自立させることも試行錯誤の末に寝床で考えた方法です。「よし、明日はこのやり方を試してみよう」と楽しみにしながら眠りに就くと、夢見も目覚めもいいようです。

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