昔から気になっているのですが、鉄道模型が運転される時のスケールスピード(実物換算速度)は速過ぎるのではないでしょうか?曲線部に入るとカクッと曲がって、動画で見てもいかにも模型ですと言わんばかり。市販品は最小曲線半径で脱線転覆しない程度に最大速度が設定されているのではないかと思われます。Nゲージ等小さなスケールほど、またレイアウトが大きいほど、傾向として速く走っているようです。一般的に自作、市販品にかかわらず、全体のバランスや細部に拘ってできるだけ実物のイメージを再現するように作られています。なのに、なぜか時間軸だけが車両やレイアウトのスケールと合っていません。スピードが遅いとエンドレスを廻って手元に戻って来るまで待ち遠しくて、ついついパワーパックのツマミを回してしまうのでしょう。模型に限らず、車を運転していても多くのドライバーが法定速度を越えて走っているように、何か本能的に駆り立てられる心理が働くものなのかもしれません。鉄道博物館の巨大レイアウト
鉄道模型では細部に拘って普通の人なら省略してしまうような小さな部材を取り付けたり、車内の天井や床下の裏側も忠実に再現したりなど、いろんな工夫をして実物っぽく見えるように努力する人がいます。小さな軽便鉄道レイアウトで実にゆっくり走る列車やそれに合わせて車体がゆらりゆらりと揺れるギミックを組み込んだ車両を見たことがあります。電圧を下げただけでは動きがぎこちなくなるので、減速ギア比を大きくしてスロー運転が出来るように工夫しているようです。これらは模型の時間軸も忠実にスケールダウンしたように見えますが、実は時間だけを頑なに縮尺しなかった結果であると言えます。
鹿部電鉄はどうかと言うと、駆動モーターの出力不足により最高速度は約4㎞/hに過ぎません。スケールスピードで12km/hはどう考えても超鈍足です。しかし庭で走っているのを見て遅いと感じたことはありません、むしろ線路の長さ(庭の広さ)、モデルの古さ(見るからにひ弱そう)などに馴染んでちょうど良い速度に見えます。電車の大きさや見る人との距離感、モーターや車輪の奏でる音響などにも調和しているからではないでしょうか。
と考えると、模型の実スピードを縮尺で割ってスケールスピードを計算してもあまり意味がないように思えてきます。博物館の大レイアウトの列車がスケールスピードに忠実に走ると退屈で仕方ないことでしょう。逆にロムニー・ハイス・ダイムチャーチ鉄道みたいに広大な大地を走る場合を別にして、一般的な庭園鉄道ではわざとゆっくりエンドレスを周るとか、往復運転やスイッチバックをすることでスピードと無縁の、実物では味わえない遊びを違和感なく楽しむことができます。ひとりスイッチバックごっこ
それにしても、やっぱりNゲージは速過ぎる。
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