2025/04/04

待避線(余談雑談) 新幹線札幌延伸

2024年から函館地区で運用開始されたキハ150
一部の乗客が車齢30年超の車両を「新型車だ」
と喜んでいる姿を見て複雑な心境になりました。

  先頃、北海道新幹線のトンネル工事の遅れから札幌延伸開業時期が2038年頃にずれ込むとの見解が、国土交通省有識者会議から出されました。これについて全くの個人的感想ですが、「やれやれ」です。新幹線が開業すると原則として並行在来線は第3セクター化され、その存続是非は地元自治体に委ねられる、と言う少数派住民としては承服しがたい政策がまかり通っています。私の家の最寄りである鹿部駅がある函館本線沿線各自治体は、在来線存続に積極的であるとは言えません。仮に貨物輸送確保のために存続したところで、自家用車の運転ができない未成年や高齢者に優しい旅客列車の運行が行われるかどうかわかりません。だから私にとって新幹線開通は「身近な列車との別れ」を意味するわけです。5年後の2030年にそれが訪れるのはなんとも忍び難いが、13年後ならもう生きていないかもしれない、あるいは列車が走らなくなってもどうせ乗れないのだから同じだ、と諦めがつくというものです。

 個人的な観点だけからの話ではなく、もう一つ災い転じて開業遅れが追い風になるのではないかと思われることがあります。函館市長が提唱している新幹線函館乗り入れについて(注)、札幌延伸と同時開業を前提とすると時間的余裕がなかったのでこれまで雑な議論しかされていませんでした。完工までの期間が倍以上になり、検討、計画、建設に十分な時間を費やすことが可能になりました。例えば在来線の片側のみ3線軌条化する(新幹線は単線)としていましたが、複線化の得失についてもあらためて検討ができると思います。分割乗り入れ列車の長さは3両とされていましたが、先頭車の半分以上を占めるカモノハシ形状も時間をかければ定員を増やす方法を考えられるのではないかと思います。例えば札幌側先頭は切妻とは言わないまでも0系復活とか。もう一つ提案です、新青森で分割、併合することにすれば札幌発着列車は新函館に停車する必要がなくなるので時短が可能になります。
上:新函館北斗(右奥)から発車した函館ライナー__  
下:それを追うように車両基地入庫線を下るはやぶさ

 この函館乗り入れ提案に対してJR北海道、道庁は消極姿勢でしたが、札幌で手持ち無沙汰になる人材や財源を函館に向けるだけでなく、在来線の活性化について真剣に取り組む契機にしてほしいものです。

注記 新函館北斗から函館まで在来線を3線軌条化し、東京からの列車を新函館北斗で分割併合して函館まで乗り入れる、また札幌函館間の直通列車も運転するという計画。トンネルや急曲線などがなく、車両基地(地上)への既設出入庫線を利用して在来線に接続できるので、建設費を抑えてフル規格車両の使用が可能。